20、30代が「おせち料理」を作り始めた納得の理由 オンラインでおせちを学んで「開眼」した人も

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ふだんから料理をしている人が多かったせいか、皿盛の盛り付け方までスムーズに進行。大いに楽しんだ参加者たちと、できたおせちを画面に出してスクリーンショットで記念撮影。その後、「すごくおいしかった」「市販のおせちを食べない家族も完食しました」「思ったより簡単でした」といった声が届いているという。

この教室で始めて今井氏のおせちを口にしたという山口氏も、「今まで食べていたおせちは何だったんだ」と感動。それまでは毎年集まる祖母の家で食べてきた市販のおせちが、「保存させるために加えた水あめなどでネバネバした食感で、かつコンビニ飯みたいな『外で作った味』がするので、おいしい印象がなかったんです」。また、「好きなモノだけ作っていいんだ、ということは発見でした」とも話す。

若い世代がおせちを作り始めたのはなぜ?

なぜ今、若い世代がおせち作りを始めるのかを2人に聞いてみた。

対面では、10年以上おせちを教えてきた今井氏は、「家族ができたときに、おせちを作れるようになりたいという人は多いです。フレンチのおせちなど市販のものに、好きなおせちを組み合わせたいという人が多い印象があります」と話す。

「市販品をすごくおいしいとは思っていないのに、1万円以上出すのは金額と見合わない。親が買うならまだしも、自分が買っておいしくなかったらつらいから、自分で作ろう、となるのではないでしょうか」とも推察する。

おせちに込められた縁起も好きだという。「『来年はもうちょっとお金にゆとりがほしいな』と思いながら、金運上昇の意味がこもるきんとんを作る。『子どもに勉強してほしいな』と思いながら、知恵を表す巻物の形をした伊達巻を作る。1つひとつの料理に込められた縁起を伝えながら教えるのも楽しいです」と話す。

一方山口氏は、「おせちなしの正月もありだと個人的には思いますが、1年に1回しか食べないものだし、そこぐらいはちゃんとしたい。クリスマスには興味がない私も、大みそかやお正月の静かな雰囲気が好き」と話す。

「同世代で民芸や伝統文化に興味を持っている人は多いです。洋風文化の中で育って、そういうものに飽きたという感覚が私自身にもあります。また、子どもが生まれると、日本文化の中にどう生きるか伝えたい、と考える人も多いのではないでしょうか」。自身も去年、今井氏のおせちは、家族に送るなどして喜ばれたそうだ。

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