「MMT(現代貨幣理論)」が、いまだに日本では言及されているようだ。
改めてひとことで言えば、これは「独自通貨を持つ国であれば、債務返済のための通貨発行に制約を受けないため、いくら借金をしても財政破綻は起きない」という理論である。
だが、結論から言えば、これは理論的に誤りであるうえに、現実に採用されれば、経済を破壊する「最も害悪の大きな理論」になる。以下、理由を説明しよう。
MMTの「4つの誤り」と「3つの害悪」とは?
理論的には、以下の4つの大きな誤りがある。
第1に、価格メカニズムをまったく無視している。
第2に、リスクという概念が存在していない。
第3に、その結果、金融市場をまったく無視している。
第4に、その結果、マネー自体を無視している。
つまり、現代貨幣理論とは「現代ではマネーを無視していいのだ」という理論である。
だから、貨幣理論なのに財政がすべてを決めるのである。その結果出てくる政策提言は、インフレ水準がターゲットよりも低ければ、財政支出をとことん行い、インフレがターゲットを超えたらとことん財政支出を縮小し、とことん増税する、というものとなる。
これは、誰が見ても、経済を破壊する理論であり、政策であることがわかる。しかし、MMT論者はそれが理解できないようなので、現実の大きな問題点も指摘しよう。
現実の政策としては、3つの害悪がある。
第1に、財政支出の中身がどうであっても、気にしない。
第2に、金融市場が大混乱しても、気にしない 。
第3に、インフレが起きにくい経済においては、その破壊的被害を極限まで大きくする。
理論と現実の政策としての問題点の説明は、現実的に日本経済が破壊されることを何よりも防止するために、政策の害悪を先に説明しよう。
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