矢野財務次官の「バラマキ批判」に欠けている視点 「政府の借金」への認識はこの10年で変わった

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与野党の「バラマキ公約」に「批判」を唱えた矢野財務次官に欠けている視点とは何か。もしかしたらわざと触れなかったのだろうか(写真:つのだよしお/アフロ)

最近ずっとご無沙汰している中山競馬場の船橋法典駅入り口には、アメリカの作家、マーク・トゥエインのこんな言葉が掲げられている。

It were not best that we should all think alike; it is difference of opinion that makes horse races.

「私たちの意見がすべて一致してしまうのは決していいことじゃない。競馬が成り立つのは、意見の相違があってこそだからね」

今や「天下の財務次官」が「泣き言」を言う世の中に

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

その通り、競馬場にはいろんな人が集まってくる。本命を狙う人、逆張りをする人、「お誕生日」馬券を買い続ける人、ユニークな馬券を見せびらかしたい人など、いろんな動機を有する人がいるからこそレースは成立する。

これはマーケットの本質でもある。われこそが正しい、という人が入り乱れているから市場には叡智が宿る。市場はときに賢にして愚、愚にして賢に見えるが、常に意見が割れている、ということが大切なのである。

で、何が言いたいかと言うと、この連載3人の筆者のうち、先々週の小幡績先生は「矢野康治財務次官の論文は99%正しい」 と述べ、国家財政の破綻を警戒すべきであると説いた。その翌週の山崎元氏は「意見は大いに歓迎したいが、論旨には賛成しない」 と、今回の総選挙においては、むしろ「バラマキ」政策を目指すほうが望ましいと論じている。

ここまで意見が割れると、筆者も別の見方を披歴してみたくなる。いや、もちろんご両人を仲裁しようとか、「両者の意見を止揚(アウフヘーベン)したい」などと不遜なことを考えているわけではない。単に一緒に馬券を買って、後から「どうだ!」と胸を張りたいだけのことである。それにしても月刊『文藝春秋』の矢野論文は、「今年のヒット商品番付」の3役クラスに載せたいくらいの大反響と言えよう。

そこで不肖かんべえ流の「矢野論文、第3の読み方」だが、嫌味や皮肉は一切抜きにして、天下の財務次官が予算編成の作業中にこんな「泣き言」を言う世の中になった、という発見が、いちばんのお値打ちではないかと感じている。

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