「人生100年時代」に「FIRE」したがる人の問題点 若いとき「無理にお金を貯める」とどうなる?

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若いときから「FIRE」を目指して、無理してお金を貯めようとしていないか? 賢明に生きているはずが、結局失敗につながる可能性も(写真:アン・デオール / PIXTA)

物議の多かった東京オリンピックが終わり、投資家読者が注目しているはずのジャクソンホール・ミーティング(カンザスシティー連銀主催の世界の中央銀行関係者の会合)はもうすぐだ(8月26〜28日予定)。ジャクソンホールは、筆者の次にご執筆のかんべえ先生(吉崎達彦氏)にお任せして、今回は人生について考えてみよう。

「LIFE SHIFT」を覚えていますか?

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

読者の皆さんは『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン&アンドリュー・スコット著、池村千秋訳、東洋経済新報社刊)という本を覚えておられるだろうか。2016年10月に発売されて、その後、2017年、2018年を通じてよく読まれたベストセラーかつロングセラーだ。

世界で平均寿命が一貫して延びていることを指摘し、長寿化に応じた人生設計が必要だと説いた。「人生100年時代」という流行語を生み、人々は「老後」により関心を持つようになった。人生を通じて「長く働くこと」、さらにそれを可能にする自己教育の必要性などが強調された。

「人生100年時代」というキーワードを金融業界は大いに気に入った。人々に老後のお金が重要であることの注意喚起をして、金融商品を売り込むうえでちょうどいいキャッチフレーズだったからだ。

詳しい経緯は省くが、その後、2019年に「老後2000万円問題」が持ち上がり、2020年の「コロナ相場」では、新型コロナによる内外の株価の急落とその後のバブル的とも言える株価上昇が生じた。2019年には老後への金銭的備えへの関心から、2020年には株価の下落をチャンスと見た向きが多かったことから、投資による資産形成にこれまでよりも若い世代が関心を持ち、積立投資の口座開設などに動いた。

証券・運用業界にとっては追い風が吹いた。もっとも、若い投資家の積立投資は、投資額の増加はゆっくりだし、投資対象がローコスト(手数料が安い)なインデックスファンドに集中していて(正しい選択である!)、証券会社、運用会社にとって本格的な収益要因になるのはかなり先のことだ。

さて、2021年、「2000万円」や「人生100年時代」ほどではないが、投資家の関心を集めているキーワードは「FIRE」だ。「FIRE」とは、「Financial Independence, Retire Early」から来る略語で、早期リタイアを可能にするような金融資産を形成することを指す。言葉の定義上、「FIRE」に関心を持つのは相対的に若い投資家だが(年を取ってから「FIRE、FIRE」と言うと少しイタい感じになる)、生活を切り詰めて投資額を増やして、本気で「FIRE」を目指している若い投資家は少なくない。

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