金融資産への投資は、長期で行うとそれなりの効果が期待できるが、人生の若い時点では、自分自身の知識・経験・スキル・人間関係などのために「投資」することのほうが、将来の豊かさによりつながりやすい場合が多いのではないか。付け加えると、「投資」として投入するものは、直接的に「お金」だけではなく、「時間」と「努力」も含まれる。もちろん、その時その時の時間や努力は「お金に換算するといくらか?」と考えることもできるから、これらをまとめて考えてもいい。
「FIRE」を目指す若者について心配なのは、人的資本への投資効果が大きい人生の大事な時期に、金融資産の蓄積に励むあまり、爪に火(fire!)を灯すようなつましい生活をして、人間がツマラナク小さくまとまるのとともに、将来「稼げない人」として人生を送るようになることだ。
若い人にあえて言いたい。「もっと、自分のためにお金を使おう!」。
もちろん、備えとしてのお金や、将来・老後に向けた資産形成も重要なので、支出と貯蓄・投資のバランスを取ることは必要だが、「将来の稼ぐ力」を育てること、そしてそれを有効に使うことに大いに関心を向けてほしい。
あなたのポジションはどこ?
さて、人生を進めていくと、お金持ちになったり、貧乏になったりするし、自分の好きな活動に時間を使えたり、自分の時間と自由の多くを他人に売り渡したり、さまざまな状況に至る。再び、図を描いてみた。
自由・不自由と金銭的豊かさの組み合わせとは?
例えば、好きな活動を仕事にして、それで大いに稼げているような「◎◎」(右上の第1象限)の状況から、嫌いな仕事で時間を奪われつつも貧しい「××」(左下の第3象限)の状況まで、さまざまな状態が存在する。
もちろん、原点から離れた(右上の第1象限)の状態が幸せだろう。しかし、就職の時点では左下(左下の第3象限)にいることが少なくないかもしれない。「不自由だがリッチ」(左上の第2象限)と「自由だがプア」(右下の第4象限)はある程度相互に移動可能だが、現実的な比較としてどちらがいいのかは難しい。いわゆる「就活」の良し悪しは、スタート地点をどれだけ右に持っていけるかについての「差」として実現する場合が多いだろう。
一時の幸せのためには、横軸についてできるだけ右のポジションにいるのがいいのだが、これを維持するにはお金が必要な場合が多い。また、横軸のポジションが同じくらい右側でも、縦軸のポジションがより上(よりリッチ)の人は、お金を使うことで自由の範囲を拡大できる(より右のポジションに移動できる)ことが多いのでより有利だ。
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