「自分の手柄を人に譲る」人がトクする決定的理由 人生100年時代は善人が報われる「透明化社会」
ただ、運転手の仕事を失った当の本人が、その新たに生まれる仕事に就けるかどうかはわからない。ここにギャップがあります。
19世紀や、コンテナ革命の時代とは違って、いまは一世代の長さが長いということも考えなければなりません。以前は、働く期間は一生で30年でしたが、いまは50年です。世代交代も遅く、雇用に対するショックの影響は長く大きくなると予想されます。なるべくインパクトを小さくするように考えていかなければならないでしょう。
AIの時代に生き残る3つの能力
テクノロジーが急速に発展すると、古い知識はすぐに役に立たなくなります。ウェブだけで見ても、10年前の「Flash」という動画フォーマットは、いまでは使われていません。つまり「Flash」の技術者はもう役に立たないわけです。
車もそうです。すべてがEVになれば、それまでエンジンを作ってきた技術者はどうなるのかという話になります。年長者の価値をどう生かすのかという問題にもなるでしょう。
僕自身の著作業で考えてみると、知識を持っているだけでは、もはや価値はなくなった。確かにそう思います。検索すればなんでも出てきますから。ただ、持ちうる知識をどう結び付け、概念化するかという能力は、簡単に身につくものではありません。そこに価値はあるかなと思っています。
一方、人間の能力は創造性だけではありません。『人工知能と経済の未来』(文春新書)などを書かれた駒澤大学経済学部の井上智洋さんは、AI時代に人間に残る能力は、「CMH」――クリエーティビティー、マネジメント、ホスピタリティーだと述べています。
クリエーティビティーとは、文化や芸術などですね。マネジメントは、単に稟議してハンコを押すというものではなく、いかに人間関係を円滑に回していくかに気を遣うことです。
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