「自分の手柄を人に譲る」人がトクする決定的理由 人生100年時代は善人が報われる「透明化社会」
かつては、上から目線の管理職と言われていましたが、最近の組織形態では、いわゆる「上司」ではなく、「支えること」がマネジメントだと言われるようになってきました。そのような発想でみんなが気持ちよく働けるようにするという仕事は、なくならない。
そして、ホスピタリティーとは、どんなにロボットが進化して介護ロボットなどができたとしても、おばあちゃんを優しくさすってあげて、声を掛けてあげるというような、介護士さんのやっている役割はどうしても必要だということです。
どんなにファストフード店が無人化されて、店員がロボットになったとしても、近所のカフェで、顔見知りの店員さんとちょっと会話を交わしたいという感覚は、なくならないでしょう。
AIが人間性を前景化させる
日立製作所の矢野和男さんが著した『データの見えざる手』(草思社)という本があります。日立製作所の社員に 人と人との接触や身体の動きを計測できる身分証型のウェアラブルデバイスぶら下げてもらい、何年間にもわたって、オフィス内で誰がどのように行動しているかを解析するという実験を行ったものです。
このなかで、あるチームの業績が上がった時、なぜ上がったかを分析した内容が興味深いものでした。
普通であれば、そのチームの製品力が高かったとか、営業力が強かったということになりがちです。しかし、ここで指摘されたのは、ある女性の存在でした。
その女性は事務職でしたが、たくさんの人と会って、長時間コミュニケーションをとっていました。その女性がいたことでチーム全体がまとまり、士気が上がり、結果、いい仕事につながって業績が上がったということが、AIによって浮かび上がったのです。
それまで見えなかった存在が、重要な役割を果たしていることがわかるようになってきた。そうなると、縁の下の力持ちや、人の心を支えてくれている人たちの価値も上がってくるでしょうし、それが、普通の人たちに求められる仕事にもなってゆくでしょう。まさに新旧の『ライフ・シフト』に書かれている無形資産や、人間的スキルです。
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