米Appleを衰退させる「残念な企業文化」の中身 「デザイン至上主義」「トップダウン」はもう限界
アップル衰退の兆し
アップルが特別な扱いをしている人物に、ユーチューブのスターで、1000万を超える登録者数を誇るマルケス・ブラウンリーがいる。
歯切れのよい最新テクノロジーの製品レビューを行うブラウンリーは現在、一般社会におけるテクノロジー企業のイメージをかたちづくる新しいインフルエンサーである。
ブラウンリーはアップルの製品発表イベントの常連ゲストであり、経営トップたちと会うことも許されている代わりに、肯定的なレビューでアップルに大きな見返りを与える。そんな関係性だった。
しかし、2018年2月、新しいスマートスピーカーであるアップルのホームポッドを取り上げたブラウンリーのレビューは驚きだ。
ホームポッドは、グーグルホームやアマゾンエコーに対する待望のアップルからの答えだった。ブラウンリーはそのつくりのよさやボタン(音量の調節用)、電源コード、質感、高精度なサウンドをほめたが、その後9分40秒間、ひたすらこき下ろしたのだ。
「複数の人の声を判別できない」「ほかのホームポッドと同期できない」「デフォルトの音楽プレイヤーをスポティファイに変えられない」など、欠点の指摘はさらに続いた。
「オンラインで商品を購入できない。テイクアウトの注文もできない。ウーバーやタクシーを呼べない。カレンダーの予定を読み上げさせることも、カレンダーに予定を登録することもできない。同時に複数のタイマーをかけることができない。音声で電話をかけることができない。レシピを探すことができない。『アイフォーンを探す』を使えない……。まだまだ続くよ。ほかのスマートスピーカーと比べてホームポッドだけ、できないことがものすごく多い。だから結論として、ホームポッドはダメな製品だ」
この残念なデバイスは、アイデアをトップダウンで伝えるような古い仕事のやり方が、いまだに残っているアップルの企業文化の産物だった。
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