「持っているもの貸すだけ」の複業が人気を得た訳 価値がないと思っていたこともビジネスになる

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自分の家にあるアウトドアグッズを貸し出したら、意外と需要があった(写真:Prapat Aowsakorn/iStock
「複業家」とは、1つの仕事だけでなく、いくつかの仕事を掛け持ちしながら働く人のことで、「パラレルワーカー」とも言われる。金銭的にも精神的にも安定する働き方として、コロナ禍以降さらに注目度が高まっている働き方だ。
そのパイオニアとして知られる中村龍太氏は、現在、IT企業で週4日働きながら、自営の農家で人参を育てたり、依頼があればドローンで動画撮影をしたり、パエリアづくりを教えたりもしている。なぜそんな多彩な仕事を続けることができるのか。中村氏の著書『出世しなくても、幸せに働けます。 複数の仕事で自分を満たす生き方』から、複業を無理せず楽しく続けるコツを解説してもらった。

「やりたくないことは極力やらない」複業

僕らしいね、と言われる代表的な複業が、「飾らないムービー撮影」と「会場との一体感を引き出すモデレーター」です。僕は、ムービー撮影は好きですが、編集はあまり好きではありません。正社員として週4日は勤務しているため、できたら1日で撮影して納品までできるぐらいのシンプルな撮影がいい。ズボラな僕にしかできない撮影サービスです。

実は、この複業は僕が思いついたわけではありません。学生時代に放送部だった僕は、新しい撮影機材に目がありません。コンパクトサイズだったり、高画質の撮影ができたりする新製品にいち早く飛びついてしまう習性があります。撮影好きというよりも、機材を試したい気持ちが強い、機材オタクみたいなものです。

ある日のこと、そんな僕に、撮影の依頼がありました。きっかけは、我が家の自宅周辺をドローンで撮影した動画をSNSに公開したことでした。その動画を見た知り合いの農家さんが、自分の畑を撮影してほしいと言うのです。理由は、畑の規模をホームページで紹介するための素材として使用したいとのことでした。そこで、複業日に日帰り撮影を決行。帰りの飛行機で編集を完了させ、その日のうちに送りました。

ちなみに、この複業は、僕にとって趣味の1つだった動画撮影が、初めて「仕事になる」と意識した大切な仕事です。

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