更新料「無効」判決にすくむ賃貸住宅業界、礼金やハウスクリーニング代に波及も



 危機感を募らせるのは、不動産管理会社の多くが展開するサブリース業者も同じだ。管理会社が家主から物件を借り上げて入居者を募集するサブリース事業では、賃料の一部を手数料とするほか、礼金や更新料が収益源。

あるサブリース業者では「年間の更新料収入は20億円」に上る。仮に消費者契約法が施行された01年までさかのぼって返還請求が殺到すれば、200億円程度の引当金が必要となる。財務基盤が脆弱な業者ならひとたまりもないだろう。

被告の弁護団でもある久保原和也弁護士は「更新料と礼金、共益費も含め総合的に賃貸経営を検討するべき」と呼びかけている。今後の契約については、更新料を廃止して賃料に上乗せする。難しければ「一時払い賃料」として明示することでリスクは回避できるという。

一方、日本賃貸住宅管理協会では、賃料と共益費、敷引金、礼金、更新料を4年間支払った総額を1カ月当たりに平均した金額を「めやす賃料」とする自主ルールを作った。「説明不足を解消すれば、消費者契約法には抵触しない。すべての費用は家賃に集約されるべき」(三好修会長)と力を込める。6月末から物件募集広告への表示を始める方針だ。

業界が警戒心を強めるのは、問題が更新料だけでなく「礼金や共益費、ハウスクリーニング代に波及するおそれがある」(久保原弁護士)からだ。賃貸住宅業界は大きな節目を迎えている。

(前田佳子 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2010年6月19日号)

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