アメリカの高校生が学ぶ「自分のお金を守る」方法 詐欺の手法、個人情報やパスワード管理まで…
「ピラミッドスキーム」とは、いわゆるネズミ講のようなものだ。「絶対に儲かる投資がある」と言って会員を集め、会員の出資金をさらに古い会員に支払うことで、あたかも投資の利益が上がっているように見せるが、実際の投資は行っていない。最初の少数の会員がピラミッドの頂点になり、新しい会員がピラミッドの底辺のような構造をしているのでこの名前がついた。
この詐欺が発覚するきっかけは、リターンが異常に高いことだ。誰かがおかしいと思い、調査すると、詐欺の実態が明らかになる。できれば犯人が儲けをすべて持って逃走する前に発覚することが望ましい。
有名な「ポンジ・スキーム」
1900年代の初め、ある銀行で働いていたチャールズ・ポンジは、自分の銀行がほかの銀行より2倍も多い利息を払うため、顧客がどんどん増えていることに気がついた。しかし銀行の融資の儲けだけでは、約束した利息を顧客に払うことができない。その結果、銀行のオーナーは残りのお金をすべて持ってどこかに逃走してしまった。
これを見たポンジは、あるアイデアを思いつく。投資家を集めると、国際返信切手と為替レートの違いを活用すれば大儲けできるというもっともらしい話をでっちあげ、3カ月で資金を倍にすると約束したのだ。
ピラミッドスキームではよくあることだが、ポンジの投資戦略はそれなりに理にかなっている。しかし、例えもっともらしくても、そんなにうまい話は転がっていないということを忘れてはいけない。「ポンジの場合も、切手の取引ではそれほど儲けが出なかったので、大儲けしているふりをして新しい投資家を呼び込み、そこから初期の投資家へのリターンを支払っていた(リターンを受け取った人のほとんどがそのお金を再投資に回した)。
投資家の中から疑問の声が出てくると、ポンジはそれを黙らせるために広報係を雇った。しかしその広報係が詐欺に気づき、ポンジはついに投獄されることになる。これはとても有名な事件なので、ピラミッドスキームは「ポンジ・スキーム」とも呼ばれている。
最近では、バーナード・マドフのピラミッドスキームが有名だ。マドフはニューヨークの投資家で、30年にわたって合法の投資会社を経営していた。そして副業として、チャリティー財団や富裕層の顧客から預かった資金を運用するという仕事もしていた。この副業がとんでもない詐欺だったのだ。
ポンジと違って法外に高いリターンは約束しなかった。マドフが顧客に約束したのは、市場よりわずかに高いリターンを毎年継続することだ。そして、マドフは約束を守った。市場がどんなに下がっても、反対にどんなに上がっても、彼は好調な運用成績を維持している。
しかし、それは好調すぎた。マドフの評判が広がり、顧客はどんどん増えていった。新しい顧客からの資金が入るために、古い顧客が投資を現金に換えたいと言ってきてもすぐに応じることができる。マドフのピラミッドスキームに気づく人はいなかった。しかし2008年に新しい顧客が途絶えると、マドフもついにこの詐欺を続けることができなくなったのだ。
これは史上最大の詐欺犯罪であり、被害額は少なく見積もっても170億ドルにのぼる。大きなチャリティー財団を含む顧客の財産が、すべて消えてしまったのだ。
ピラミッドスキームのターゲットは富裕層だけではない。例えばポンジにだまされた人々の多くは貧しかった。
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