ただ、面白いと悪ふざけは紙一重である。保守的な業界関係者から批判はなかったのか。聞くと、意外にもほぼゼロだという。
「何のためにフォロワーを増やしたかというと、仏教を広めるためですから。努力も工夫もし続けて、フォロワーが約110万人になった。今、私が仏教のことを投稿すれば拡散され、多くの方に知っていただく機会になるんです。業界関係者の方も、意味がないとは言えないんじゃないですかね」
批判どころか、宗教関係者から「ツイッターのコツを教えてほしい」とお願いされることも、一度や二度ではないという。異端児が、正統派にも認められるようになったのだ。
「再スタートの場所を提供できれば」
2019年には、自らがオーナーとなりバーを開店した。通常営業のかたわら、ゲストに1日店長を務めてもらうことも多い。この営業スタイルにも、坊主さんのある思いが込められている。
「不祥事とか炎上とか、何かやらかしてしまった人に、再スタートの場所を提供できればなと。コロナで仕事が減ってしまった人も、うちを使って収入を得ていただきたい。駆け込み寺のようなイメージですね。僕自身はバーで稼ぎたいとあまり思っていないのですが……いや、本当は思っていますが(笑)、利益はできる限り困っている人に還元したいと考えています」
継ぐお寺を持たない坊主さんにとってのお寺が、このお店なのだ。オーナーとして、住職として、人々に手を差し伸べ続けている。最後に、ありがたいお話で締めくくろうと、坊主さんの好きな仏教用語を聞いてみた。しばし考えた後、神妙に口を開いた。
「優しい言葉を使おう、っていう意味の仏教用語があるんです。不に悪に口で、ふあっくっていうんですよね。汚い言葉を使っている人がいたら、『不悪口ユー』って注意しましょう」
まじめに不まじめを追求し、人々を笑わせ、さりげなく仏教の教えも伝える。坊主さんのツイートには、今日も多くの反響が寄せられている。
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