日本人を不幸にしている「欲望の無限ループ」 元外資金融マンを救った「マインドフルネス」
マインドフルネスは、日本においては新興宗教の影響もあって、以前はあやしいイメージを持たれていました。しかし現在では、科学的な裏付けやエビデンスが加わり、メソッドとしての信頼性が認められ、広く認知されるようになっています。
本書でも解説されていますが、瞑想している状態の僧侶の脳波がどうなっているのかを、科学的に検証するというような研究も行われるようになりました。
科学的に「見える化」されるようになったことで、宗教の世界にはまだまだいいことが眠っているのではないか、何千年もの間、先人たちが行ってきたことにはすばらしい効果があるのではないかと謙虚に受け入れられるようになってきたわけです。
そこに登場して、アメリカでベストセラーになったのが本書ですね。アメリカは日本よりももっと大衆化していて、飛行機の中などどこでもマインドフルネスをやっていたりします。
アメリカは多様性社会ですし、そもそも1950~1960年代の西海岸では、精神世界に興味を持ち、瞑想やドラッグをやるヒッピー文化がありました。物質主義的ではない世界があるということをすでに発見していて、それがマインドフルネスにつながっているわけです。その人たちがハーバードやイエールの研究者になり、最新の論文を出してもいます。
このようにして、マインドフルネスや日本の禅は、アメリカで再発見されて、日本に逆輸入されました。本来は、日本から生まれてもいいブームで、新しいものとして社会に広めればいいと僕は思うのですが、「アメリカから来たメソッド」としてありがたがられています。
コロナ禍で浮き彫りになる日本の遅れ
コロナ禍で、マインドフルネスの必要性はますます加速しました。自殺者も増えていますし、正確な統計はまだ出ていませんが、メンタルの疾患も増えている可能性があります。
実は国連は、在宅ワーク向けにマインドフルネスをやりましょうと推奨しています。アメリカでも、ニューヨーク州がマインドフルネスを推奨していて、医療関係者のためのメディテーションなども行われています。
とくに、エッセンシャルワーカーの方はつらいですよね。メンタルケアが必要ですし、「やったほうがいい」ではなく「やらなければならない」という段階です。その点、日本はかなり遅れています。
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