日本人を不幸にしている「欲望の無限ループ」 元外資金融マンを救った「マインドフルネス」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

SNSでは、ポジティブなことよりも、ネガティブなことのほうがバズります。現実の世界では、いいこと・悪いことが同じ割合で起きていたとしても、スマホばかりを見ていると、ネガティブなことを目にする機会のほうが増えてしまいます。さらに、反芻思考によって、ネガティブなことを何度もリピートしてしまいます。

しかし、「スマホのせいで自分は不幸になった」と認識している人はあまりいません。原因ははっきりわからないけど、モヤッとした不安があるとか、「このままでいいのだろうか」と感じてしまうとか、軽いうつ、自律神経失調症などとして症状が出ているわけです。

そして、この問題に対してみんながソリューションを探しています。最近、登山やアウトドア、キャンプ、たき火、サウナ、ヨガ、クラフト、手芸といったものがブームになっていますが、僕は、これらを「広義のマインドフルネス」と捉えています。

いずれも、いまこの時間に集中することで脳や心を休ませ、過去や未来のことを考えない時間を持つというものです。つまり、みんなが無意識のうちにマインドフルネス的なことを求めて、すでにやりはじめているわけです。

欲望の無限ループで幸福感は得られない

僕自身がマインドフルネスに行きついたのは、メンタルの問題がきっかけでした。

もともとは恵まれた環境に育ち、大きな失敗もない人生でした。日本の大学を出て、外資の証券会社に入社、そこからヘッジファンドに転職して10年ほど働き、クビになることもなく、高い年収もいただいている――物理的な幸せ度で見れば、社会のトップ1%に入っていたと思います。

でも、それで自分が幸せだったかというと、違いました。

若い頃は刺激が欲しいものですよね。社会的にいい仕事に就いて、大金を稼いで、車を買い、女性と付き合ってレストランに行きたい……という具合に次々と欲望が生まれます。それ自体は否定しませんが、上へ上へと次のステップを目指して走り続けても、結局、人間の欲望は無限ループなのです。

広告やSNSなどから日々刺激を受け、本当は欲しくもないのに高級車を買ったりする。まわりの人から「いいね」と注目されると、自己顕示欲を刺激されてやめられなくなってしまう。幻想でしかないのですが、人々の欲望をかき立てることで経済を成り立たせているのが資本主義の世界でもあるわけです。

次ページお金が人生の満足度に与える影響
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事