日本人を不幸にしている「欲望の無限ループ」 元外資金融マンを救った「マインドフルネス」
本書に、年収が7万5000ドルを超えると、人生の満足度は横ばいになり、お金が人生の質的評価に与える影響は、中流の人もジェフ・ベゾスも変わらないという研究が紹介されていますが、僕もまさにその状態でした。
ほんの少しのプラスアルファのために一生懸命に時間を削り、ストレスを受けながら幻想を追い求める。だんだん、自分の目指していることに意味はあるのだろうかと思うようになっていきました。
メンタルの不調から救ってくれたもの
当時、スティーブ・ジョブズの「明日死んでもいいように生きよう」というスピーチを聞いて感動しましたが、僕はいま死んだらきっと後悔するとも思っていました。
とはいえ、積極的に自分の恵まれた状態を捨てるほど不幸でもない。非常に快適な動物園にいるような、マヒしている感覚です。
そして、メンタルをやられてしまいました。仕事中もずっと同じ心配事にとらわれて、ご飯も食べられず、眠れない。そこで初めて心療内科を受診したところ、「軽いうつ」と診断されたのです。
幸せについてより真剣に考えるようになり、まずは自己啓発書などを片っ端から読み始めました。なにかソリューションがあればすぐ解決すると思っていたわけですね。しかし、なかなか難しい。
そんな中、仏教の本にあった「執着を捨てましょう」という言葉が印象に残り、興味を持ちました。勉強してみると、実はメソッドとしてかなり体系化された世界で、人間が幸福に生きていくためのおすすめのライフスタイルなども紹介されており、これは面白いと思ったんです。そこからマインドフルネスや瞑想も取り入れるようになりました。
実践する中で、やがて、マインドフルネスも瞑想も、人々に興味を持たれていて本は売れているのに、実際にやっている人があまりいないということに気がつきました。
走るなり、瞑想するなり、まずは何でもやってみればよいと僕は思うのです。いくらいい本を読んでも、実践せずに、ただ追い求めてばかりではもったいないですよね。
知識として知っていることと、実践しているかどうかには、ギャップがある。そこを埋めるための活動をしたいと考えて、マインドフルネスのプラットフォーム「MELON」を立ち上げるに至りました。
いまは、明日死ねますかと言われると、死ねると言えそうです。以前よりも収入は大幅に減りましたが、幸せなんですよ。物質主義的でない幸せを得ているからですね。
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