「すり替え作戦で育児」双子パンダ誕生の舞台裏 育児放棄も起きる「簡単ではない」子育て事情
深夜の東京・上野動物園で6月23日、人の手に収まるほど小さなジャイアントパンダの赤ちゃんが「ギャー!」と元気な産声をあげた。その約1時間半後には2頭目の赤ちゃんが誕生。こちらも小さな体から大きな声を響かせた。
同園が1972年10月にパンダ飼育を始めてから来年で50年。パンダ誕生は2017年6月の雌のシャンシャン(香香)以来4年ぶりで、双子のパンダが生まれたのは初めてだ。
大きな変化が起きたのは6月22日
母親のシンシン(真真、15歳)は、3月6日に雄のリーリー(力力、15歳)と4年ぶりに交尾。上野動物園は、妊娠の可能性があると6月4日に発表して、シンシンの公開を中止していた(参照:『シャンシャン「数十秒接見に殺到」上野動物園の今』)。
大きな変化が起きたのは6月22日。シンシンは午後6時ごろから、陰部をなめるといった行動が増え始めた。飼育職員らは、出産に備えた24時間体制をとり、観察を続行。午後7時ごろには、シンシンの陰部が広がり、赤くめくれるといった出産の兆候があらわれ始めた。
日付が変わった6月23日0時1分にシンシンが破水。1時3分に1頭目を床に産み落とすと、シンシンはすぐに赤ちゃんをくわえ、右の前足でしっかり抱いた。2時10分に再び破水して、2頭目が2時32分に誕生。
その直後から、シンシンは2頭を右の前足で上手に抱いていた(この時、どちらが先に生まれたほうかわからなくなった)が、3時10分に職員が1頭を取り上げた。一般的に、パンダの母親が2頭の子どもを育てるのは、非常に難しいためだ。
パンダは45%ほどの確率で双子を生むものの、1頭しか育てないケースが多い。野生では、見捨てられたほうの赤ちゃんが生き延びるのは難しい。
一方、最近の研究で、母親から取り上げて人工保育した赤ちゃんを母親に戻しても、母親は、そのまま受け入れることがわかった。そこで上野動物園は、人工保育を交えながら、2頭ともシンシンに育てさせることにした。
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