「すり替え作戦で育児」双子パンダ誕生の舞台裏 育児放棄も起きる「簡単ではない」子育て事情
上野動物園は来年、開園140周年を迎え、日本の動物園として最も歴史が長い。パンダの飼育にも日本で最初に取り組んだ。そんな同園での双子パンダの誕生は、経済活動にも影響を及ぼす。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、この双子パンダの都内での経済効果が、公開から1年間で約308億円に上るとの試算(速報値)を6月24日にまとめた。
上野の街も双子の誕生に沸いている。松坂屋上野店は、早くも6月23日からパンダにちなんだイベントを次々と開催。入口でくす玉を割ったり、対象商品に上野のパンダ3頭の写真と「赤ちゃんパンダ誕生おめでとう」の文字が入った掛け紙を巻いたりしている。
株価も反応した。上野に本店がある精養軒の6月23日の株価は最高値で946円となり、前日終値(880円)を約7.5%上回った。940円を超えたのは、上野動物園が5カ月ぶりに開園した6月4日以来だ。同じく上野が本店の東天紅は、6月23日の最高値が1290円で、前日終値(1170円)に対し約10.3%高。こちらも、年初来高値を更新した6月4日の1298円に次ぐ高い水準だ。
日本で暮らすパンダは13頭に
双子の誕生により、日本にいるパンダは計13頭(上野動物園5頭、アドベンチャーワールド7頭、神戸市立王子動物園1頭)となり、中国国外で最多だ。次に多いのはアメリカで、9頭(スミソニアン国立動物園3頭、アトランタ動物園4頭、メンフィス動物園2頭)を飼育。スミソニアン国立動物園の3頭は、2023年12月を期限に、中国へ行くことが決定している。
世界各地の動物園は、パンダの研究や繁殖に取り組んでいる。この2年間の中国本土以外での繁殖例を見ると、2019年は、ベルギーのペリダイザ動物公園(8月)とドイツのベルリン動物園(8月)で双子が生まれた。
2020年は、オランダのアウエハンツ動物園(5月)、台湾の台北市立動物園(6月)、韓国のエバーランド(7月)、アメリカのスミソニアン国立動物園(8月)、アドベンチャーワールド(11月)で、それぞれ1頭のパンダが誕生。2021年は、マレーシアの国立ネガラ動物園で5月31日に1頭が生まれている。
現在、飼育下のパンダは約600頭で、このうち77頭が中国本土以外で暮らしている。野生のパンダは、中国が2015年に発表した数字で1864頭だ。
飼育下も野生も、パンダの数は昔に比べ増えているが、絶滅の恐れがあることに変わりはない。世界のパンダの保全という点から見ても、上野動物園の双子パンダの誕生は貴重だと言える。
双子の公開はいつだろう。6月12日生まれのシャンシャンの公開は、同年12月19日からだった。コロナ禍の状況なども左右するだろうが、仮にシャンシャンと同じスパンとすると12月30日になる。
この日は、例年なら年末年始の休園期間。しかも12月末は、シャンシャンが中国へ旅立つ期限だ。そのため双子の公開は2022年になるかもしれない。いずれにしろ、上野で生まれた3きょうだいが健やかに育つよう見守りたい。
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