インフレ率上昇の第一要因は、昨年の落ち込みの反動
アメリカの消費者物価上昇率が高まっている。
前年同月比の上昇率は、3月の2.6%から、4月には4.2%に上昇した。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、最近の物価上昇は新型コロナ禍で経済が停滞した昨年の反動にすぎず、想定内であるとし、インフレは「一過性」と強調している。
この説明が正しいかどうかを検討しよう。
昨年3、4、5月に消費者物価が下落したことが、最近の高い物価上昇率をもたらした要因であることは、間違いない。
仮に3月から5月にかけての落ち込みがなく、傾向線に従って物価が上昇していたとすれば、昨年4月の消費者物価指数は、現実の値の256.2ではなく、260程度になっていたはずだ。
その場合には、2021年4月の対前年上昇率は、現実の値である4.2%ではなく、2.6%になっていたはずだ。
これは、例年の上昇率より若干高いだけだ。
このように、上記FRBの説明は、基本的に受け入れられるものだ。
なお、消費者物価は昨年5月にも下落しているので、今年5月の対前年比も高くなるだろう。
昨年の消費者物価は、5月がボトムで、それ以降は上昇に転じた。
したがって、水準がいま以上に大幅に上昇するのでなければ、対前年比は今後低下していくだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら