医療政策で「需要」と「ニーズ」を使い分ける理由 知っておいたほうがいい「医師誘発需要仮説」

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次は、外来の国際比較データである。

日本の年間平均は12.6回で、他国と比べて圧倒的に多い。それはなぜなのだろうか。日本人はほかの国の人たちよりも病弱だからだろうか。もし、日本人が外来に行く回数が、グラフにある国々の平均6.5回くらいになったら、日本人の健康はどうなるのだろうか。

この疑問については、誰も答えを持っていないが、研究者というのは、答えが出ないかもしれない問いについては見ないふりをしたりするところがあったりする。だから、みなさんも自由に考えることが許されている。日本の医療を取り巻くさまざまな条件を動かし、たとえばかかりつけ医の普及なども想像しながら、自由自在に考えてみよう。

5月21日に成立した医療法などの改正では、「外来医療等についての報告制度が創設」されることになった。現行の入院医療に関する病床機能報告制度と合わせて、医療機能の分化と連携を進めるのが狙いである。

患者負担率が上がると何が起こる?

いま、後期高齢者の一定所得以上の患者負担を1割から2割にするための法案が、参議院で議論されている(衆議院では5月11月に可決)。この件については、筆者は以前からいくつかインタビューを受けていた。一応、答えてみるわけだが、こういう話を限られた字数にまとめるのはとても難しい。

この件については、『高齢期の患者負担は1割、2割、それとも?――「高齢者」ではなく「高齢期」、世代間対立は不毛だ』(2020年11月25日)に書いているから、参考にしてもらいたい。この文章のなかで重要な箇所を引用するとなると次になるだろうか。

日本のように、フリーアクセス、民間の医療機関、出来高払いという制度特性を持ち、加えて財政には余裕はないというこの国では、将来的には3割に揃えるということになるのではないだろうか。ゆえに、今の2割論議は、3割への通過点なのだろうと観察している。もっとも、以前、私は日本医療の制度要因を変え、かつ医療を消費税の課税対象にするタイミングで、自己負担率は2割に揃えることも考えていた。だが、なかなかその道は難しい。しかし完全に諦める方向でもない。

あまり論じられないが、患者負担率は提供体制のあり方にも依存する。加えて、方々で繰り返し言っているように、日本における高額療養費制度の存在というのも重要である。

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