年金を75歳までもらえなくなるって本当?

日本は受給開始年齢を自由に選択できる制度

年金の受給開始年齢についての疑問は多い(写真:PIXTA)

年金話が少しばかり盛り上がっていた2月の半ば、目を疑うような大事件が起こった。

なんと、『週刊ポスト』誌上に、「年金の受給 70歳へ繰り下げで1100万円得する。そのためには60歳からの準備が必要だ」との記事が書かれていたのである(2018年2月23日号)。知人から連絡が届いたので読んでみると、70代でもらえる年金の総額は65歳受給の場合は2640万円だが、70歳繰り下げでは3748万円。実に1108万円の差が生まれる、繰り下げは”長生きリスク”に対応できる理想的な対策とのこと。こうした「得する制度である年金の繰下げを選んでいる人は現在、わずか2%程度」と述べ、さらには、65歳以降働くことに不安を覚える人たちには、「1年だけでも繰下げを目指してはどうか」と勧めていた。

今までの年金記事と様変わり

いや、この記事はまったく正しいのだが、『週刊ポスト』は昨年まで年金とこれを受け取る年齢について異なった見解の記事を展開していたのではなかったか。それは次のようなものだ。「年金制度に詳しい"年金博士"こと、社会保険労務士の北村庄吾氏は『公的年金の支給開始年齢は定年プラス5歳に引き上げられてきた。65歳定年制の完全実施で年金が70歳支給になるのは既定路線といっていいが、政府はその先、年金完全75歳支給に向けた準備をはじめた』と指摘している」(2017年9月8日号)。まるで将来は、年金は75歳までもらえなくなるので大変な時代になると言わんばかりだ。

かくも、年金とこれを受け取る年齢の関係をめぐっては混乱することが多い。実際のところ、それはどうなっているのだろうか。

日本の今の公的年金制度は、60歳までの繰り上げや70歳までの繰り下げ受給が可能で、実質的には60歳から70歳までの間での「受給開始年齢自由選択制」である。

年金のことにあまり詳しくない人にこの図を見てもらいながら「日本の支給開始年齢はいくつだと思いますか?」と尋ねると、どう答えるだろうか。たぶん、60歳と答えるのではないか。そうしたイメージ、つまり、その年齢になるまで年金を受給することができないと信じて、先ほどの年金博士のインタビュー記事を読み直したら、ゾッとするだろう。日本の支給開始年齢は、「70歳になるのは既定路線」で、政府は、将来に向けて「年金完全75歳支給に向けた準備をはじめた」というのだから。

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