今の年金受給者は将来世代に譲歩するのか

「連合」の退職者団体が強硬姿勢から転換

公的年金の将来世代の給付水準維持のためには、現受給者の譲歩が必要だ(写真:tkc-taka / PIXTA)

小さな一歩だが、公的年金制度改革にとって大きな前進となる出来事がこの夏あった。

年金受給者の団体である日本退職者連合(民進党、社民党系で主に連合の退職者を組織化)。83万人の会員を擁し、年金受給者団体としては国内2番目の大きさとなる同団体が今年7月、政府に対する年金制度の要望内容を変えたのだ。

具体的には、これまで「マクロ経済スライド調整の名目下限方式の堅持」という項目を掲げ、

マクロ経済スライドによる調整にあたっては名目下限方式を堅持すること。

と要望していたのだが、これが「マクロ経済スライド調整の在り方」という項目に変わり、

マクロ経済スライド制度による年金額調整の在り方について、現受給者の年金を守るとともに将来の年金受給世代が貧困に陥らない年金額水準を確保できることを重視して、退職者連合と誠実に協議すること。

と、「名目下限方式の堅持」という言葉が削除されたのだ。

これがどういう意味を持つのか。

将来世代の給付減少をマクロ経済スライドで緩和

マクロ経済スライドとは、年金保険料を支払う世代の人数の減少に応じて現在の年金給付額を調整するというもの。2004年の年金制度改革で導入された、現在の年金制度の基幹的機能だ。2004年改革後の年金制度は、保険料率を先に固定してしまい、それによる約100年間の収入と支出(給付)が一致するよう、年金給付水準側を調整していくというスキームに変更された。

これまで厚生年金の保険料率は固定水準である18.3%(労使折半)に向けて段階的に引き上げられてきた途上だったが、ついに今年9月分の保険料からは18.3%に到達し、保険料率は固定されることになる。

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