これはどんな結果をもたらすのか。給付水準の調整が遅れた分、その割を食うのは将来の高齢者(現役世代)だ。先に説明したように、公的年金制度は約100年間の収入総額を固定し、この1つのパイを現在の高齢者と将来の高齢者で分け合う構図となっている。収入総額は変わらないのに、現在の高齢者の取り分の減り方が予定より少なければ、その分、将来の高齢者の取り分が減ることになる。

付け加えれば、将来の給付水準が経済成長のケースによって変わってしまうのも、この名目下限方式のためだ。先ほど、順調なケースでは50%を上回り、低成長ケースでは50%を切ると書いたが、要するにこれは低成長時にはデフレや低インフレによってマクロ経済スライドが発動されない年が多いので、その分、給付水準の調整が遅れ、将来の高齢者の給付にシワ寄せが行って所得代替率がより低くなってしまうのだ。名目下限方式が撤廃されれば、将来の所得代替率予想が経済前提に左右されることはなくなる。
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