年金を75歳までもらえなくなるって本当? 日本は受給開始年齢を自由に選択できる制度

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だがたぶん、年金博士が言っているのは、次の図の「年齢・給付水準線」をAからCへと右にシフトするような話なのではないかと思われる。

確かに、年齢・給付水準線の右へのシフトを、この国では「支給開始年齢の引き上げ」もしくは「受給開始年齢の一律引き上げ」と呼んでいる。しかしこの、いわゆる「支給開始年齢の引き上げ」が将来において行われる可能性は、実はこの国ではないのである。

「支給開始年齢の引き上げ」は愚策

「支給開始年齢の引き上げ」に関しては、日本で2番目に大きな年金受給者団体の日本退職者連合が述べている次の文章を理解できなければ、適正な評価ができない。といっても、たぶん、この文章を一読して理解できる人はあまり多くないだろうと思う。

支給開始年齢の引き上げは、生涯年金額の減額であり、かつその減額影響は、すべてこれからの年金受給世代に負わされる(現受給者は逃げ切り)。
既裁定年金の抑制策を持たない国では例があるが、日本には不要で合理性を欠く手法。

「既裁定年金」とは、すでに高齢者が受給している年金のことで、その「抑制策を持たない国では」とあるのは、日本はすでに、既裁定年金の抑制策を持っているということを言っているのである。それは、図では、A→D、B→Cという年齢・給付水準線の下方へのシフトを意味する「マクロ経済スライド」という仕組みを持っていることを指している。マクロ経済スライドとは、年金保険料を支払う世代の人数の減少に応じて年金給付の総額(したがって既裁定年金を含む)を調整するというもの。

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