日本の家づくりに暗雲「ウッドショック」の危機 コロナ禍が引き金となり、長期化が懸念される

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同社は、大手ハウスメーカーとして知名度が高いが、世界20数カ国に展開し、調達から製造、流通までを担う国内トップの業績を誇る木材・建材商社という側面も持つため、木材の動向に詳しい。

回答によると、「コンテナの問題が解消すると予想していた夏ごろには輸入木材の需給も緩和すると考えていたが、コロナ禍でも好調を続けてきたアメリカの住宅建設がそのまま維持されている。資材高、供給不足は夏場を超え、年内いっぱい続く可能性が高い」とみているという。

国産材については、「山林所有者は高齢者が多いなどの理由から、現状では伐採意欲に繋がっていかない」といい、短期的に木材調達の安定や価格低下につながる可能性は低いとの見方だ。

プレカット材のイメージ(筆者撮影)

もう1社は、日本最大のプレカット材の加工・販売企業であるポラテックだ。

プレカットとは、住宅建築に使われる木材を設計図面に合わせて工場で加工することをいう。プレカット材は施工品質の向上や工期短縮が可能なことから、現在木造住宅の多くで使われている。

比較的短期間で収束する可能性も

ポラテックは国内外から木材調達をしているが、前述のような状況から調達に苦戦。プレカット材の受注も一部で制限せざるをえない状況となっている。

だが、同社専務の北大路康信氏によると、今後については意外にも「それほど心配していない」という。その理由はこれまでのウッドショックと呼ばれる事態は、数カ月単位の比較的短期間で収束しており、今回もその轍を踏む可能性があるからだという。

「世界の需要に対する木材出荷量が不足しているわけではなく、現状はより高値で購買するアメリカや中国にモノが流れ、日本が買い負けている状況だ。コンテナ問題などが収束すれば、元通りの木材調達・価格に戻ると考えられる」と北大路氏は語った。

つまり、少なくともウッドショックが非常に長期間にわたる、あるいは常態化するようなことはない、との見方だ。

とはいえ、消費者が住宅取得をする際の建築費についてはどうなるのだろうか。冒頭のように、施工現場がストップするような状況が表れる中で、値上げに踏み切るケースも出始めている。

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