日本の家づくりに暗雲「ウッドショック」の危機 コロナ禍が引き金となり、長期化が懸念される

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前出の住友林業は「住友林業の家」ブランドで住宅事業を展開しているが、「主要な木材製品の調達については当面は目途がついており、今後の交渉についても信頼関係のある国内外の仕入先からの供給を受ける予定」という。

ただし「当社住宅事業について現時点では住宅着工や竣工への影響はないが、建築費は時期を含めて見直しを検討している」との回答もあった。

また、ある大手ハウスメーカーに問い合わせたところ、「現在は在庫でカバーできているが、8月以降については木材の確保が厳しくなることを予想している」としている。つまりは、大手ですら危機感を強めているというわけだ。

健全な林業経営実現がカギに

日本は森林資源に恵まれた国でもある。それなのになぜウッドショックに見舞われているのか、疑問に思われないだろうか。その理由は、建築向け木材の約5割を輸入に頼る日本の住宅産業の構造、サプライチェーンのあり方がある。

輸入材のイメージ(筆者撮影)

さらには国産材を供給する林業の脆弱性がある。日本の林業は、事業者の高齢化や人手不足、機械化の遅れなどから、結果的に価格や品質のバランスで輸入材に押されているわけだが、この林業をめぐる課題解決の必要性を今回のウッドショックは浮き彫りにしているように思われる。

一方で、木材は再生可能な「資源」であり、その価値が高まると考えられ、世界的に木材の使用量は年々増加している。仮に現状が改善されるとしても、将来的にウッドショックの再発、あるいはさらに厳しい局面になる可能性も否定できない。

今回のウッドショックが住宅産業と林業のより健全な関係づくりやそれぞれの体質強化につながる契機になればと考える。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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