新入社員の初任給を据え置きする企業は96.6%、2010年度調査
民間調査機関の労務行政研究所が、今年4月入社した新入社員の初任給を調査した。
4月6日までにデータの得られた東証第1部上場企業238社について集計すると、96.6%の企業が初任給を前年度と同額に据え置きしていたことがわかった。
10年度は09年度より約4ポイント上昇
初任給の水準は大学院卒修士22万3384円、大学卒20万5641円、短大卒17万2160円、高校卒16万996円でいずれの学歴でも「据え置き」が96~97%を占めている。
初任給の据え置き率は2002年度から4年連続で9割を超えていたが、2006年度以降は企業業績の回復や団塊世代の大量退職などを背景とした企業の採用意欲の高まりを反映し低下傾向にあった。
しかし、世界的不況に陥った2009年度は一転、92.7%と再び9割を超え2010年度はそれをさらに約4ポイント上回る96.6%と引き続き高い水準にある。
ベアゼロも背景に
労務行政研究所編集部主任の田中加代子氏は次のように解説する。
「初任給を決める際には、在籍者賃金とのバランスも考慮しなければならない。今年度はベアゼロで収束する企業が多く、これが初任給据え置き率の高さの要因になっているのだろう。景気は回復傾向にあるものの、企業が賃金アップや雇用拡大に慎重な姿勢を崩していないことも背景として挙げられる」。
(フリーライター:五十嵐望=東洋経済HRオンライン)
【調査概要】
調査項目:2010年度のベースアップによって確定された2010年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお,初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く,諸手当込みの所
定内賃金である
調査時期・方法:3月中旬~4月6日。調査票の郵送と電話取材により調査
調査・集計対象:東証第1部上場企業1700社と,生命保険,新聞,出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1711社のうち,回答のあった238社を集計
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