「MIRAI試乗」で見えたAdvanced Driveの可能性 「トヨタ、自動運転で遅れ」が誤りである理由

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その理由を当時、トヨタの先進安全技術担当者であり、現在は先進技術開発カンパニーフェロー兼、政府の戦略的イノベーション創造プログラム SIP 自動運転のプログラムディレクターである葛巻清吾氏に伺ったことがあるが「正しく普及させることを最優先にしたからだ」という趣旨の回答をいただいた。

技術の正しい普及。この説明には「社会的受容性」という専門用語がセットになって語られる。

一般的に「社会的受容性を形成する」として使われるこの文言は、たとえば新しい技術や事象の導入、そしてそれらの正しい普及という観点で用いられる。

いきなり世の中に問うてはすんなりと受け入れられず、ときに誤解や正しくない使い方が先行してしまうので、徐々に段階を深めてていきながら浸透させていくという手法だ。

トヨタは何ごとも段階を踏まえてことを進める。これは電動化技術にしてもそうだ。世界で1番、ハイブリッド車を販売した自動車メーカーであることから、遅れているどころかトヨタは世界トップクラスの電動化技術を持っていることが今や明らかになった。

試乗で感じた「高度運転支援」の可能性

今回、Advanced Driveを搭載したMIRAIに首都高速道路で3時間試乗して痛感したことは、「人と機械が協調して安全な交通環境を築くうえで大切なことは何か」ということだ。

また、車両のスペックだけが上がっても、ドライバーとの協調性が削がれてしまえば、搭載した技術の効果が半減してしまうことも改めて理解できた。

「MIRAI」と同時に発表されたレクサス「LS500h」のAdvanced Drive搭載車(写真:トヨタ自動車)

かねてトヨタは、「Mobility Teammate Concept」を合い言葉に、人とクルマが気持ちを通わせながらお互いを高め合い、仲間のようにともに走ることを追い続けてきた。

その第1幕が、システムとの協調アイテムとして新しく意思疎通手段に用いられたドライバーの目視である。この先、目視に加えて、人とシステムがもっと深い領域で理解し合うために、音声や光など五感に訴えかける意思疎通手段の導入が考えられる。

Advanced Driveとの協調運転で得られる高度運転支援に、ハードウェアやソフトウェアのアップデートによる精度向上への期待。今回MIRAIに試乗して、新たな世界観を肌で感じることができた。

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西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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