残念ながら現時点では、「ドライバーモニターカメラは、マスクを着用していたり、反射フィルムなどが貼られたサングラスを着用していたりすると物理的な限界点により対応できない」(トヨタの技術者談)が、そこに至るまでの精度は抜群に高い。
トヨタは2006年からドライバーモニターカメラを実装し、その精度の高さが評価され、ほぼ同時期に日野自動車の大型トラック「プロフィア」にも実装された。
現在では大型観光バス「セレガ」にも流用され、ここではドライバー異常時対応システムの主要センサーとして機能している。
精度向上はソフトウェアアップデートでできる
今回Advanced Driveを搭載したMIRAIの試乗中、頻繁に前述したB、C、Dのシーンに遭遇したのだが、ドライバーに目視を求める時間がやや長めに設定されていることがわかった。
具体的には2秒程度、車線変更を行う方向へ顔を向け、同時に視線も送る必要があるのだが、端的にこの2秒間は筆者にとって長いと感じられた。同時に、一方向に顔向きと目線を保持することから、自身による周辺の安全確認が疎かになったことも認識できた。
周辺の交通状況にもよるが、一般的に目視による安全確認には1秒程度かかり、必要に応じてそれを繰り返すことで安全な車線変更が可能であるといわれる。
この点をAdvanced Driveを開発された技術者に伺ってみると、「Advanced Driveを利用されるユーザーの方々から、システムの目視認識に時間がかかりすぎるという声が集まれば、そこはソフトウェアアップデートで調整を加えていくこともできます」という。
Advanced Driveオーナーの皆さんは、目視が長いなと感じた場合、ぜひとも声を上げていただきたい。
ここからは②の法的な課題。2013年ごろから自動化レベル2相当の技術を実装した車両が国内外の自動車メーカーから発売され、今やボディサイズやコスト管理に制約の多い軽自動車にまで実装が進んでいる。自動化レベル2は、明らかに普及段階へと移行した。
2021年3月には、ホンダからレベル3技術を含む「Honda SENSING Elite」を実装した上級セダン「レジェンド」が発売された。
このシステムについては、「ホンダ『レジェンド』レベル3運転は何がスゴいか」(2021年5月21日配信)に詳しく書いているので参考にしていただきたいのだが、こうして次々に自動運転レベルごとの技術が実装されてきたことで、新たな課題が明るみになった。交通社会との整合性だ。
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