「MIRAI試乗」で見えたAdvanced Driveの可能性 「トヨタ、自動運転で遅れ」が誤りである理由

✎ 1〜 ✎ 68 ✎ 69 ✎ 70 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2021年4月8日、交通事故統計を取り始めた1968年以降で初めて交通事故による死者(交通事故発生から24時間以内の死亡者)が0人を記録した。

いくつかの条件が重なっただけで、単なる偶然だと切り捨てる人もいる。だが、筆者には大きな出来事だと感じられた。

この記録の裏には、車両やタイヤの安全性能が格段に上がったこと、先進安全技術が普及したこと、シートベルトの着用率が向上したことや医療の長足の進歩などが重なったことが大きな要因として存在しているからだ。

そして、道路の規制速度が低く抑えられていたことも要因の1つとなり、統計史上初の出来事を生んだのではないかと推察している。

アップデートで「レベル3」対応に

最後に③、トヨタの技術開発レベルについて。自動化レベル2の段階から実装が始まったAdvanced Driveは、近い将来に行われるハードウェアとソフトウェアのアップデートを通じてHonda SENSING Eliteと同じくレベル3相当のシステムへと進化する。

現状、Advanced Drive搭載車には、ボディ左右のフェンダー部分に黒い樹脂カバーで覆われた部分があり、車体後部中央にも長方形の型取りが残るが、この3カ所に無償のハードウェアアップデートとしてLiDARが内蔵されるという。

フロントフェンダー後方にある黒い部分が将来、LiDARが装着される箇所(写真:トヨタ自動車)
リアにもLiDARが装着される箇所が見られる(写真:トヨタ自動車)

ところで、このところの一部報道に「トヨタは自動化技術の開発が遅れている」との内容が見られる。いくら優れた技術をもった商品であっても、世に送り出すタイミングが遅れてしまえば、そういった印象を抱かれてしまうのは仕方ない。

しかし、これまで25年以上、世界中の自動車メーカーを取材した筆者からすれば、すべてにおいてトップではないものの、トヨタの技術開発は決して遅れていない。

トヨタ/レクサスでは、高度運転支援技術から生まれる自動運転技術を大切に育んでいる最中だと筆者は捉えている。後出しじゃんけんのようだが、「自動運転技術を正しく普及させていきたい」という想いが強いからこそ足場を固め、そして実装という段階を経ていることから遅れているように見えるのだろう。

2014年11月に発表、2015年に初めて実装された先進安全技術群「Toyota Safety Sense」は、他メーカーと比較して導入時期が若干、遅かった。

次ページトヨタの考える「技術の正しい普及」とは?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事