大きな思い違いをしている方が多いのですが、日本はそもそも離婚大国だったわけです。それは長期的な離婚率をみれば一目瞭然です。
史料によれば、夫婦共稼ぎが当たり前だった江戸時代はもっと離婚率が高かったと言われます(参照「夫婦は一生添うべし」が当然ではない理由)。
現代と大きく異なる点は、明治時代は離婚も多い代わりに結婚も多かった「多婚多離」だったことです。離婚も多いがそれ以上に結婚も多かった。それが少子化の現代との差につながっています。
日本が離婚の少ない時代に入ったきっかけはグラフにも顕著なように突然でした。1898年明治民法施行後です。これにより、簡単に言えば、庶民への家父長制度の導入と妻の財産権の剥奪が行われました。
明治民法以降の妻たちは離婚できなくなった
そうした縛りができたことで、明治民法以降の妻たちは離婚したくても規範的にも経済的にできなくなったのです。結果的にこの「多婚少離」時代は戦後になっても1970年代まで約100年間継続しましたが、決して昔から日本人がそうだったわけではありません。
現在は、生涯未婚率上昇の陰で目立たず進行した多離婚化が顕在化し、明確に「少婚多離」時代となりました。残念ながら、この状態はしばらく続くと考えます。
これは奇妙なことに「多産少死」から「少産多死」へと移行する人口増減のメカニズムとも符合します(参照日本だけでない「世界的な人口減少」は不可避だ)。未婚化や少子化問題は、往々にして経済環境や個人の価値観の問題と結び付けられますが、もしかしたらもっと大きな「見えざる流れ」の中に我々はいるのかもしれません。
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