2000年から2019年までの20年間の婚姻と離婚の年齢構成比を見てみると、54歳までで婚姻は98%、離婚も90%を占めています。昨今、晩婚化や熟年離婚が増えているとはいえ、高齢者の婚姻は2%、離婚も1割にも達しません。
婚姻も離婚もほぼ54歳までで完結するのです。対する有配偶人口構成比(2015年国勢調査より)は54歳までは過半数にも満たない47%しかありません。つまり、ほぼ離婚しない55歳以上の有配偶者が53%を占めます。高齢夫婦というのは、長年連れ去った情か、諦めか、はたまた面倒くさいのか、離婚をすることは少ないわけです。
普通離婚率にしろ、有配偶離婚率にしろ、婚姻や離婚に無関係な55歳以上の年齢を丸ごと分母に加えてしまうと、実情とはかけ離れたものになると言えるのです。
では、改めて、離婚の9割を占める15~54歳までの年齢に絞って有配偶離婚率(夫)を算出してみましょう。各年の国勢調査配偶関係別人口(配偶関係不詳を除く)にて計算しました。結果からいうと、2015年実績で人口千対10組が離婚しています。全年齢対象の夫の有配偶離婚率は5組ですから、その違いが明確なものとわかります。
高齢有配偶者を離婚率の分母に入れるのは適正でない
もうひとつ大きな違いは、普通離婚率や全年齢の有配偶離婚率は絶対値は違う(後者は男女合計分母のため)にしろ、同じ軌跡をたどっていますが、15~54歳有配偶離婚率は、むしろ特殊離婚率と同じような推移をしています。これを見ても明らかなように、新たな婚姻も離婚もしない高齢有配偶者を離婚率の分母に加えることは適正とは言えないわけです。
とはいえ、54歳までの有配偶離婚率人口千対10組とは1%のことです。54歳までの年齢制限をしても、年間当たり1%しか離婚しないのであれば、それはとても「3組に1組離婚」とはいえないのでないかと思うかもしれません。
しかし、この1%という数字の見方は、54歳まで対象年齢において、有配偶者は毎年1%ずつ離婚していることを示します。言い換えると、25歳で結婚し、54歳までの30年間に換算すれば、累計30%は離婚しているということになるのです。これこそが「3組に1組は離婚する」という指標の正当性を表すものです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら