「3組に1組は離婚」は本当か?データで徹底検証 結婚が作られず壊されていく少婚多離の時代に

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勘違いされている方もいますが、「3組に1組は離婚する」という特殊離婚率は、毎年30%が離婚するという意味でとらえるより、結婚に対する離婚の比率を見るためのものです。長期間の累計値で説明したほうがわかりやすいかもしれません。

1990年から2019年までの30年間の全年代を対象とした婚姻数累計は、2150万組、離婚数累計は693万組です。30年間の累計特殊離婚率は約32%となります。

もちろん、この離婚数の中には、1990年以前に結婚した夫婦も含まれていますが、30年間の累計においては誤差の範囲です。つまり、この30年間で結婚した夫婦のうちの32%は離婚をしていることになります。まさしく「3組に1組は離婚」しているのです。

特殊離婚率の数字は、「結婚が何組作られ、何組壊されているのか」を知る重要な指標です。私はそれを「結婚破壊率」と命名しています。そして、案外盲点なのが、この「結婚破壊率」が高くなればなるほど、少子化が進むという事実です。戦後からの長期推移で出生率との相関係数を見れば、▲0.808という極めて強い負の相関がみられます。

日本は、婚外子が少ない国です。逆に言えば、婚姻が成立・継続しない限り、子どもは生まれてこないことになります。1990年代以降、急激に結婚破壊率が上昇していますが、思い出していただきたいのは、生涯未婚率といわれた50歳時未婚率の急上昇も1990年代からです。結婚が破壊されるのと時を同じくして、実は結婚も作られなくなっていたわけです。

自由恋愛で婚姻できている数は変わらない

「結婚が作られず、壊されていく」

これこそが今、日本が直面している大きな課題であり、少子化の問題も根本的にはここに突き当たります。少子化対策として子育て支援ばかりが注目されますが、実は結婚して子を産んだ母親は昔も今も2人以上産んでいます(参照出生数90万人割れは「少母化」が最たる原因だ)。

むしろ少子化の最大の原因は、この「結婚が作られず、壊されていく」ことにあります。

とはいえ、婚姻を増やそうとか離婚を減らそうとか画策してもあまり効果はありません。お見合いや職場結婚というある種の社会的結婚お膳立てシステムの崩壊とともに婚姻数が減ったことは間違いのない事実です。その裏で、自由恋愛によって婚姻できている数というのはほぼ変わりません。

つまり、お膳立てがあろうとなかろうと結婚する男女はするのであり、そうした自由恋愛で結婚ができる能力のある男女こそが、結果として離婚もしているからです。結婚も離婚もいわば彼らの自家発電です。

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