日本に「本物のリーダー」が絶望的にいない深い訳 「無恥・無知・無能」だらけ!その根本原因は?

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ハーバードビジネスレビューに発表されたビジネス心理学者の研究では、「過剰な自信や傲慢さがカリスマや魅力と誤解されがちで、自己中心的で自信過剰なナルシシストがリーダーに選ばれやすい」と分析されています。

スタンフォードビジネススクールのニール教授は、「本当の知見やスキルを持った人は皮肉なことに、多くを知っているがために、逆に注意深く、断定的には話さない一方で、そういったものを持っていない人ほど、自分たちの信念に自信を持ち、断定的に話す」と指摘しています。

「能力の低い人ほど、自分の能力を過大評価する」というダニング・クルーガー効果というものが知られていますが、まさにそれです。

そして、強い自己愛を持った人は、何らかの欠損や心の空白を抱えた人たちの目には、非常に魅力的に映るのだそうです。

「とにかく強い調子で断定する人」に人はひかれてしまう

昨今、強い物言いをする「インフルエンサー」と言われる人たちが跋扈していますが、エビデンスはなくても、「とにかく強い調子で断定する人」に、人はひかれてしまう。まさにトランプ前大統領がその典型でしょう。

「ナルシシストリーダー」は業績を伸ばすどころか、無茶なM&Aに手を出す、危険な投資をする、不正に手を出しやすいなど、企業や組織にとって「百害あって一利なし」であることが多くの研究から明らかになっています。

この傾向は世界共通なのですが、日本ではとくに、こうした「自己顕示欲の強い権力志向の無能なリーダー」が輩出されやすい印象があります。そこには多くの理由が考えられます。

●謙虚で、へりくだる人が多い中で、自信満々に、恥ずかしげもなく言いたいことを主張する人が目立ちやすい
リーダーシップ教育、帝王学を施す場がない悪平等が浸透し、エリート教育そのものに抵抗感がある。
●上司と部下などの間でもフラットな関係性の欧米に比べ、とくに上下の縛りの強い関係性の中で、上の立場に行くほど、奉られやすく、傲岸になり、共感力を失いやすくなる
●人格や見識、能力といったものより、上にどう気に入られるかで、出世や昇進が決まりやすい
●極端なリスク回避志向により、ミクロ視点のつじつま合わせに終始し、マクロ視点、大局観を持つことができない

この「教育」の欠如という点では、たとえば企業が社員の研修などに拠出する能力開発費のGDPに占める割合は、欧米に比べるとまさに、雀の涙。アメリカでは、GDPの2%が投じられていますが、日本では、どんどんと削られ、わずかに0.1%にすぎません。

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