「もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由」で、コロナの感染状況とは関係なく、ほかの多くの国で国民のリーダーへの支持率が高いことなどを紹介しましたが、リーダーシップ不在の中で、わが国の「コロナ対策」「経済対策」「ITデジタル施策」など、ありとあらゆる現場が迷走しています。
ゆるゆるの水際対策、まったく不十分な検査体制や医療体制、そして、遅れに遅れているワクチン接種。これらをすべてリーダーたちのせいにするわけではありませんが、明らかに多くの指揮命令系統が機能していません。
出版社の宝島社が「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」という新聞広告を出し、話題を呼びましたが、「ステルス戦闘機に対し、竹やり、なぎなたで戦え」と言っているかの状況で、われわれには無力感しかありません。
人は「中身はないのに自信のある人」にだまされやすい
「国民1人ひとりの力」は決して低くはないはずなのに、なぜか「リーダー」はパッとしない。日本のエグゼクティブのコミュニケーションの家庭教師をしている私は、これまでに数えきれないほどの経営者、政治家、官僚などこの国のリーダーたちにお会いしてきました。
優れた経営者も少なからずいる中で、どうしようもない「ダメダメリーダー」も数多く目撃してきましたが、とくに悪質なのが「無知蒙昧、無恥傲岸」系リーダーです。
かつて日本を代表するトップメーカーだった東芝を地獄の底に引きずり下ろしたトップなどは、高飛車で傲慢で、人をひどく馬鹿にした態度が印象的でした。記者時代にお会いしてから5年ほどたって、当時の名刺ファイルを見直していたら、彼の名刺にだけ、大きく「×マーク」が……。よほど腹が立ったのだな、と記憶がよみがえりました。
思い上がった自信満々のトップが会社を滅ぼしてきた事例は枚挙にいとまがありません。人は、この「中身はないのに、自信のある人」にだまされやすいところがあります。
過剰な自信を持った人ほど、取り立てられ、出世しやすく、トップに立ちやすい。この「自信>能力」という「ナルシシスト系『偽』カリスマリーダー」というのが、実に厄介なのです。
こうした「『自信過剰タイプ』が出世しやすい」というのは日本に限った話ではありません。「コンフィデンス(自信)」が高いと、「コンピテンス(能力)」が高く見えてしまうという現象ゆえなのです。
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