またも上昇、右肩上がりのパワハラ相談件数
自分ではなく、他者に向けられた理不尽な怒り。職場における典型例がパワハラだ。都道府県労働局等に設置した総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々急増している。
平成14年度は6627件だったのが、平成24年度には5万1670件となり、相談内容の面も「解雇」を抜いてトップになった。最新データである25年度の相談件数は5万9197件と前年比14.6%増。2年連続のトップだ。
「パワハラは良くない」……今では多くの人がそう考えている。企業も盛んにパワハラ研修を導入し、パワハラ防止規程も定めている。しかし、こうしてパワハラは年々増え続けている。それはなぜか? おそらく頭では「良くない」と解っていながらも、感情を抑止できずに激怒してしまう上司と、それに耐えることができない部下が年々増え続けているからだろう。そして上司は後悔の弁を述べる。「そんなつもりじゃなかった」「あんなことを言わなければよかった」。
パワハラの蔓延する職場の生産性が上がるとは思えない。なぜなら、理不尽に怒られた部下は、上司への忠誠心が希薄となり、仕事への取組みの本気度が低下するからだ。本気を出さなくなるだけならまだいい。部下が上司と会社を相手取って訴訟を起こせば、事態はいっそう深刻化し、職場は泥沼になる。
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