さて、Twitterの企業アカウントを複数担当者で運営する場合、ペルソナがどのような効用をもたらすかは、前記の「ターゲット像明確化のためのペルソナ構築」で概ね理解できるだろう。つまり、「商品開発に有用な、消費者・顧客の声を収集する」というような目的を達成するために、広報部に新規配属された人物・ペルソナを構築して運用するわけだ。
「入社7年目で、営業部3年、マーケティング部3年の勤続の後、広報部へ異動になった川口恵子29歳・独身。趣味はバーゲン巡り」というようなプロフィール像を詳細に作り、さらに川口恵子がTwitterのアカウントを担当する勤務時間や、社内情報で知っている範囲、回答権限なども設定しておく。そうすることによって、ありがちなTwitter担当者が休日深夜まで対応したり、どこまでユーザーからの質問に回答していいのかなどに悩んだりするという問題も回避できる。
こうしたペルソナの設定と運用は、拡大して活用範囲を考えれば、企業のお客様相談窓口におけるE-mailや電話対応にも応用できなくもない。しかし、今までほとんどそうした活用例が見受けられなかったのは、問い合わせ側が企業の窓口にそこまでのフレンドリーさを求めていなかったからだといえるだろう。良きにつけ、悪しきにつけ、Twitterのアカウントにはそれなりの「個性」をユーザー側は期待する「文化」が形成されつつある。その対応に、「ペルソナ」を一度、検討することをお勧めしたい。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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