できるリーダーは「存在感が薄い」納得の理由 老子が考える東洋人らしい「美しい人間性」とは
「恥」こそが自己啓発の根本
論語には「君主になるための教科書」という側面があり、全編を通してリーダーシップを語っていると言っても間違いではありません。論語が説いているリーダーシップとは、「ビジネスを成功させる人」とか「業績をV字回復させる人」ではありません。そうした実力、実行力も大事ですが、それに加えて、人々から「信」を得られるような「本物の人物」です。
では「本物の人物」とは、いったいどういう人でしょうか。論語の言葉を引いてみましょう。
子貢、問いていわく、いかなるをか、これを士というべき。子のいわく、おのれを行うに恥あり
子貢という弟子が「立派な人物とは、どういう人ですか」と孔子に尋ね、孔子はこう答えます。それは自らの振る舞いに恥を持てる人だ、と。
「恥」とは、自己啓発の根本です。自分の言葉や行動に対して恥を持てるか。たしかに、これは人間の質を大きく左右するでしょう。社内政治が上手だったり、小狡いやり方で自己保身をしてきた結果、大きな企業で出世を果たしている人もいます。そんな人に感じるのは、やはり「それで恥ずかしくないのだろうか」という思い。たしかに、ルール違反ではないし、表立ってとがめられることもありません。
しかし、人間としてどうなのだろう……。もはやそれは心の内の問題で、自分自身にしかどうすることもできません。
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