できるリーダーは「存在感が薄い」納得の理由 老子が考える東洋人らしい「美しい人間性」とは

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論語や老子が考える最高のリーダー像とは?(写真:PIXTA)
東洋思想を基盤とする独自の考えを構築・実践し、数多くの企業経営者と政治家を育て上げてきた田口佳史氏は、孔子や老子、孫氏など中国古典の教訓を現代のビジネスや生き方に結びつけて解釈する講義や著書で知られる。本稿では、『論語と老子の言葉 「うまくいかない」を抜け出す2つの思考法』から、論語や老子が考える最高のリーダーとはどんな人物なのかを紹介します。

「恥」こそが自己啓発の根本

論語には「君主になるための教科書」という側面があり、全編を通してリーダーシップを語っていると言っても間違いではありません。論語が説いているリーダーシップとは、「ビジネスを成功させる人」とか「業績をV字回復させる人」ではありません。そうした実力、実行力も大事ですが、それに加えて、人々から「信」を得られるような「本物の人物」です。

では「本物の人物」とは、いったいどういう人でしょうか。論語の言葉を引いてみましょう。

 子貢、問いていわく、いかなるをか、これを士というべき。子のいわく、おのれを行うに恥あり

子貢という弟子が「立派な人物とは、どういう人ですか」と孔子に尋ね、孔子はこう答えます。それは自らの振る舞いに恥を持てる人だ、と。

「恥」とは、自己啓発の根本です。自分の言葉や行動に対して恥を持てるか。たしかに、これは人間の質を大きく左右するでしょう。社内政治が上手だったり、小狡いやり方で自己保身をしてきた結果、大きな企業で出世を果たしている人もいます。そんな人に感じるのは、やはり「それで恥ずかしくないのだろうか」という思い。たしかに、ルール違反ではないし、表立ってとがめられることもありません。

しかし、人間としてどうなのだろう……。もはやそれは心の内の問題で、自分自身にしかどうすることもできません。

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