横浜高島屋に「地元のパン」大量に並ぶ深い理由 横浜発「パンのセレクトショップ」の壮大な狙い
また、セレクトショップだけでは利益が出ない、と11月から横浜・青葉台の老舗パン屋の「ボンヴィボン」のパンをOEMで製造し、ベーカリースクエアにも出店している。それは、職人の技術向上のためでもある。4人雇った職人のうち2人は新人。ボンヴィボンのオーナーシェフ、児玉圭介氏から技術を学ぶ。幸い、同店の空いている工場を借りることもできた。
ゆくゆくは、「後継者がいない店のブランドを買い取って、オーナーシェフにリベートを払う、あるいはレシピを印税のように換金化できるビジネスモデルを作って、パン屋が辞めた後の未来を作りたい」と中島氏は語る。
「パン屋の資源は結局、レシピと職人です。これを渡すことができれば、最近多くなっている中小パン屋のM&Aを、手間をかけて行わなくてもいい。職人にとって未来がある構造を作れば、技術の継承はよりスピードアップし、横浜のパン屋の未来が広がる」と説明する中島氏自身が、横浜市生まれである。
個人経営のパン屋にとっても新たなビジネスチャンスに
横浜駅近くにある国際フード製菓専門学校の学生が焼いたパンもカナガワベーカーズドックで売り、客の声をフィードバックするなど、未来の人材育成と地元活性化にも力を入れている。
さらに、販売員は催事やイベント販売のマネキンを派遣する会社と契約して雇う、商品の配送も物流会社に依頼するなど、「餅は餅屋」方式でコスト削減を図っている。
ハットコネクトは、個人で営むパン屋にとっても新たなビジネスチャンスにつながっている。上大岡にある、国産小麦とオーガニック材料にこだわったパン屋「トレフール」のオーナー、笠間智裕氏もそう感じている1人だ。
「おいしいパンを作れば、どこで店を開いても客は来てくれる」と周囲に言われ、自分でもそう思って開業したが、上大岡の駅からバスで15分ほどかかる店にはなかなか人が来てくれない。もう店を辞めようかと考えていたときに出会ったのが、当時オリーブオイルスプレッドの営業をしていた矢野氏だった。
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