シンガポール以外にも、IR、カジノの運営部分を外資に依存する例は多くあります。運営マネジメントを外資に委託し、レベニューシェア(売り上げの配分)を行う契約です。例えば、米国の部族民政府(インディアン)、バハマ、東南アジアの一部、東欧の一部などです。
ただし、こうした国々でも、多くの場合、自国企業が所有(資本)の大半を確保しています。運営を外資に依存した国々の特徴は、①自国の経済規模、カジノ潜在市場が小さい、②周辺諸国とのカジノの顧客獲得競争が激しい、③IR構築、運営に関連する自国産業が未成熟、などの条件を備えることです。明らかに日本には当てはまりません。
なお、世界最大の市場であるマカオでは、6つのコンセッション(免許)のうち、3つが米国系に付与されました。しかし、マカオ政府の拡張計画の許認可運用、マカオ資本の導入義務付け、サービスアグリーメント事業者の存在などを考慮すれば、実質的には、中国資本の影響力はコンセッションの割合以上に強い状況にあります。
ちなみに、マカオの市場が開放され、コンセッションが付与された2002年当時、中国経済は発展の初期段階でした。そうした中でも、マカオのGalaxy Entertainmentは独力で世界を代表するカジノ、IR企業の地位を築きました(時価総額は世界2位)。同社はもともと建設資材業であり、カジノとは無関係でした。
以下は同社の成功に対するマカオゲーミングコミッション委員長のコメントです。「Galaxyの開発実績と現状は、開発者が十分な財務体力を有する場合、カジノ運営の専門家を雇用し、世界の有力カジノ事業者と対抗する施設を構築することは難しいことではないことを示している」。
日本産業界には十分な能力あり
世界の先進国は自国の企業によってカジノ、IRを実現しています。日本も同じように自国産業主導で進めるべきです。
日本企業によるカジノ構築、運営体制の整備のプロセスは次回以降で詳細に説明しますが、今回は日本のIR開発は世界、アジアの先例と比較して、好条件に恵まれ、難易度が低いことを客観的事実から説明しておきましょう。
結局、日本産業界が「自ら参画する」という強い意志を持てば、IR、カジノの構築、運営を主導できない理由はありません。
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