政府は、「IR実施法案」を国会に提出し、今国会での法案成立を目指すことになった(参考:「カジノは上限3カ所、『厳しめ与党合意』の波紋」「日本版カジノ、なぜこうも時間が掛かるのか」)。
各地のIR誘致関係者は、多くの場合、自治体の首長、経済界のリーダーである。それぞれ、自分たちの街の長期ビジョンを想定し、人口減・高齢化に立ち向かうため、「街づくり」の一環としてIR誘致に取り組んでいる。地域において、誘致作業、すなわち政府への申請を行う事務主体は、自治体(都道府県または政令指定市)となる。
地域事業者はエリアに根差す存在
一方、IR事業への参画を目指す事業者は、地域事業者、海外IR事業者などである。IRの開発運営主体は、地域事業者、海外IR事業者を主要株主とするコンソーシアムとなる方向。IRは「カジノを収益ドライバーとする街づくり事業」であり、その成功には、地域事業者、海外IR事業者それぞれの役割が不可欠である。
地域事業者の役割は、地域社会における信頼と調整力、地域の理解、IR計画コンセプトへの信認の付与。海外IR事業者の主たる役割は、資金調達のサポートと海外のカジノおよびIR特有のノウハウ・リソースの提供である。地域事業者はエリアに根差す存在である。一方、海外IR事業者は日本全国を見回し、誘致確度が高く、市場性が大きいエリアをターゲットとする。
4月3日の与党合意(重要論点11項目)の結果、IR実施法には、区域認定数の上限が3カ所と明記されることになった。IR実施法は「1区域に、1事業主体、1施設、1カジノ」と明確に規定する。今後、IR誘致を目指す自治体、参画を目指す事業者は、3つの席をめぐり、激しい獲得競争を繰り広げることになる。
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