関空・新トップが明かす「2兆円落札」の勝算

オリックス流運営で日本の空港は変わるか

関西エアポートの社長に就任した山谷氏。オリックスのノウハウをどのように空港運営に生かすのか(撮影:尾形文繁)
日本の空港の新たな潮流が、関西国際空港から生まれるかもしれない。
国が100%出資する関空の運営会社・新関西国際空港株式会社(新関空会社)は2015年12月15日、オリックスと仏空港運営大手バンシ・エアポートの企業連合に関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権を売却する正式契約を結んだ。オリックス・バンシ連合は新会社「関西エアポート」を設立。今年4月1日から、同社による44年間にわたる空港運営が始まる。
新関空会社は両空港の所有権を保持したまま、施設の運営権だけを売却する。この「コンセッション方式」と呼ばれる事業方式により、新関空会社は年間490億円、総額2兆2000億円超の運営権料を受け取り、巨額の負債の返済に充てる。さらに民間のノウハウを活用し、空港の活性化につなげたい考えだ。
運営権者を募集した当初、多数の日本企業が名乗りを挙げたものの、「運営権料が高すぎる」「事業期間が長く、リスクが大きい」という声が噴出。「各企業とも現場のやる気は大きかったが、たいていの場合は経営陣が尻込みしていた」と関係者は打ち明ける。最終的に応募したのは、オリックス・バンシ連合のみだった。
他社が二の足を踏む中、オリックスはいかにして応募を決断したのか。新会社・関西エアポートの山谷佳之社長(オリックス取締役)に話を聞いた。

単純な運営でないから面白い

――コンセッション事業には多くの日本企業が名乗りを挙げたが、そのほとんどが「リスクが大きい」として応募に踏み切らなかった。

今回の関空・伊丹の民営化は、空港コンセッションとして国内第1号であるうえ、非常に大きな案件だった。そもそもコンセッションの概念は日本企業に浸透していない。募集要項の意味を読み解くのに専門知識も必要だった。どういう仕組みなのか、どこにリスクがあるのか、理解するのはなかなか難しかった。

単純に「運営」といっても、新関空会社から譲り受ける子会社株式を含め、1兆7000億円もの資産を持ちながら運営するのがコンセッションだ。投資を10年で回収でき、将来も見通しやすく、撤退もできるということであれば、10、20の企業が応募に踏み切っただろう。ここが難しいところであり、面白いところでもある。

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