関空・新トップが明かす「2兆円落札」の勝算 オリックス流運営で日本の空港は変わるか

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空港は運営会社だけで回しているわけではない(写真:Smolinsky / PIXTA)

――空港運営にあたっては、国とも深くかかわる。

繰り返しになるが、空港運営は新会社だけでできるものではない。

たとえば、出入国の手続きは法務省の管轄であり、管理官は公務員。LCC(格安航空会社)の就航によって利用客が増えている関空では、入国待ち時間が最長で3時間にもなる。こんなに待たされれば、外国人客も日本がイヤになってしまう。リピーターになってもらうどころの話ではない。

そこで「管理官を増やしてください」と法務省へお願いする。予算を取らなければならないので、財務省にもお願いすることになる。こうした背景もあり、国とは良好な関係を作っていかなければならない。

そのために提案したのが、運営権料として毎年490億円を支払うのに加え、収益が1500億円を超えた額の3%分を「収益連動負担金」として追加的に利益配分する計画だ。

一部では「国が10%の支払いを求めたのに対し、応募で競合のいなかったオリックスは3%という低い率を提示した」と報じられたが、これはあくまでも任意のものであり、10%は上限値として設定されただけ。「あそこの会社は自分だけ儲けて予算をつけろと言ってくる」と思われるのは、長期的にいいことではない。

また、疫病や災害、紛争などがひどくなると、空港の利用は落ち込む。こうしたことは5年に1度は起こるのではないか。「状況が悪いときも空港を支えてやろう」という関係であるべきだ。それは相手が国であっても変わらない。

関空運営は関西再興の一環

――社外取締役には、オリックスの宮内義彦・シニアチェアマンも就任する予定だ。この狙いは?

主要な役員はほとんど関西人でやろうと思っている。私は大阪、宮内は神戸、西名(弘明・オリックス執行役副会長)は京都出身だ。関西のことがわかっている人間が経営にかかわるべきだと考えている。

1990年代のバブル崩壊後は大阪を中心に仕事がなくなり、関西人が東京へ大移動した。それから20年以上が経つ。今回、私も大阪に帰るし、一時期東京に行った人が大阪に戻って、またビジネスを興すことは非常に大事なことだ。

空港運営自体は本当に小さなムーブメントだが、ここにチャンスを見出して関西人が戻る。こんな動きが連鎖していけば、関西はもっと元気な人であふれるのではないか、と期待している。

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