関空・新トップが明かす「2兆円落札」の勝算

オリックス流運営で日本の空港は変わるか

大阪出身の山谷氏にとって、関空運営は大きな意味を持つ(撮影:尾形文繁)

――そうすれば空港を利用する需要も生まれると。

今はLCCでやってくる中国人観光客が多いが、ビジネス客も増えればいい。関西でビジネスが回復すれば、関空から海外へと出ていく人も増えるだろう。そうなれば、関空から欧米に路線を飛ばそうとする航空会社が出てきてもおかしくない。

路線の誘致に関しては、民営化されたからといって“魔法の杖”があるわけではない。あくまでも、航空会社は採算が合うから関空に就航するわけだ。京都や奈良には歴史的な観光資源が多く、欧米から見てもユニークな観光地だ。中国、韓国、台湾だけでなく、そうした国からの観光需要もある。現に京都には高級ホテルが続々と建っている。

海外旅行の楽しみの半分は“買い物”と“食”だろう。おカネを使うのは都会。大阪はその機会を提供できる街だ。難波を中心としたエリアは外国人観光客であふれている。東京の銀座以上だ。いわゆる「ミナミ」と呼ばれる地域はいさぎよい。日本人も外国人も同じお客さんであり、観光客に街を明け渡す用意が東京以上にできている。

さらに関西は大学の力が強い。京都大学や大阪大学など、研究成果も数多く出ている。学会の開催を関西で増やすこともできる。一筋縄ではいかないが、カジノを含めた統合型リゾート(IR)が大阪にできるかもしれない。こうしたことが相まって、(現在は手薄な)欧米路線につなげていけると考えている。時間をかけて需要を増やしていきたい。

稼働率の引き上げが最優先

――着陸料の引き下げも戦略の中にあるが、航空会社の誘致にどのような効果を見込むか。

着陸料がどれだけ重要視されているのか、という話だ。無料に近いほうがエアラインにとってはいいかもしれないが、あくまで最後の帳尻を合わせるためのもの。それよりも、ガラガラの飛行機を飛ばすほうが問題だ。搭乗率が7割だと採算が合うが今は65%しかないのでこちらも協力する、という程度のもの。ゼロにしたところで飛行機は飛んでこない。

――路線の誘致以外では、空港の施設運営が主たる業務になる。オリックスグループの不動産運営の経験をどう生かすのか。

一番重視するのが稼働率。限りなく100%に近づけるために何が必要かを考えるのが近道だ。

オリックスが運営する施設としては、京セラドームは運営を引き継いでから10年が経つし、大分・別府で最大規模の杉乃井ホテルは事業再生を担った。引き継いだ当時は両方とも稼働率が低迷し、にぎわっていなかった。だが、稼働率が50%程度だった杉乃井ホテルは現在90%、6割弱だった京セラドームは7割弱まで高めた。

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