関空・新トップが明かす「2兆円落札」の勝算 オリックス流運営で日本の空港は変わるか

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関空の現在の稼働率は、離発着数でいえば7割程度。これを高めるためには、たとえば深夜に到着する客への対応強化が考えられる。現在は空港に到着しても交通機関が動いていないので、到着ロビーしか過ごす場所がない。ここにローコストで仮眠できるような宿舎があれば、朝一番からショッピングや観光ができる。

実現させるには、営業部隊がきちんとエアラインを連れてこなければならない。深夜帯に飛ばしたいという会社があれば、仮設でも検討することになる。とにかくまず需要を作る。需要に見合わなければ、施設を作ることも改修することもできない。営業力を高め、“ヤマ勘”ではない年度計画をきちんと作り、無駄遣いはしないということだ。

空港ビジネスには多くのチャンスがある

――今回、関西エアポートとして運営権を受託するのは関空と伊丹のみ。同じ関西圏ということであれば、神戸空港を対象とする可能性もあるのか。

考え方はシンプルで、需要が先、供給は後だ。さきほども話したとおり、関空の稼働率が7割のため、営業部隊はまず関空を世界のエアラインに売っていかなければならない。ただ、売るものがなくなってきたときは、そこからどうビジネスを伸ばすのかを考える。

近くの滑走路がどこかを考えれば、おのずと神戸空港の名前は挙がる。必要であればこちらから神戸市にお願いをするし、神戸市側から提案があればやることになるかもしれない。

山谷佳之(やまや よしゆき)/1956年生まれ。1980年神戸大学農学部卒、オリエント・リース(現オリックス)入社。オリックス不動産社長などを経て、2015年にオリックス副社長。同年12月から現職

――今後、空港の民営化にさらに関わっていくことになるのか。

ものすごい勢いで民営化の流れができている。そこに乗るのはビジネスとして重要。もはや日本だけでなく、世界の流れだ。

日本では北海道や福岡、高松などで話があるが、アジアを見るともっと多くのチャンスがある。だが、日本勢は出ていけていない。

オリックスとしてはアジアやそれ以外でも積極的に展開したい。そういう意味でも、関空・伊丹で実績が出て、初めて説得力も生まれるので、絶対に失敗できない取り組みだ。

不安なことが山ほどあれば、わくわくすることもたくさんある。ただ、どちらかというと「またいっちょやるか!」という気持ちが強い。望んでもこんな仕事をなかなかやらせてもらえない。ありがたいことだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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