今後、自治体は、IR実施法の中身、および、IR実施法の成立後に政府が策定する基本指針などを注視しつつ、誘致判断と戦略策定を行うことになる。以下の3点が、現時点で明らかな、自治体が考慮すべき重要ポイントである。
<1>政府への誘致申請のために、申請自治体である都道府県または政令指定市は、行政同意(首長同意)と議会での議決が必須になる。申請自治体が都道府県の場合、立地市町村における行政同意(首長同意)も要件になる。
<2>選定プロセスは、(Ⅰ)まずは自治体(都道府県または政令指定市)がIR事業者を公募・選定しIR事業者とともに区域整備計画を策定、(Ⅱ)その後、政府が自治体から区域整備計画の申請を受け付け、区域認定(ここで、自治体、IR事業者が確定)、という順序になっている。
<3>与党合意は、政府の区域認定について、2サイクルの実施を検討するとした。2サイクルの場合、IR実施法が6月に成立することを前提とすれば、第1サイクルの区域認定は2021年、IR開業は2024年と予想される。第2サイクルの認定区域は2023年、IR開業は2026年以降と予想される。区域認定数は、第1サイクルに1〜2カ所、第2サイクルに残る1〜2カ所となる見通し。
自治体は、まず、要件となる行政同意、議会議決を得られるかどうかを見極める必要がある。次に、IR事業者の公募において、十分に競争力がある海外IR事業者(地域事業者のパートナー候補)を呼び込めるかどうかを判断する必要がある。海外IR事業者は、誘致確度が高く、市場性が大きいエリアをターゲットする。最後に、政府の区域認定の第1サイクルに挑戦するか、あるいは、第2サイクルを目指すかを熟慮する必要がある。
フロントランナーは4地域ある
IR誘致レースは、上位3位までに入らなければならない。地域ごとに関係者の熱意や合意形成レベルはさまざまであるが、これまでに10を超える地域が誘致活動に取り組んだ経緯がある。
現在、IR関係者の間では、大阪市、横浜市、北海道(立地市町村:苫小牧市)、長崎県(佐世保市)の4地域がフロントランナーとみられている。
そして、愛知県(常滑市)、和歌山県(和歌山市)、沖縄県(名護市などが候補)の3地域が、それらを追走する展開が予想される。むろん、今後の誘致レースにおいて、順位が入れ替わることもあろうし、新たな地域が台頭してくる可能性もあるだろう。
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