フロントランナー4地域の共通点は、立地市町村の首長がIR誘致スタンスを決定済み(横浜市を除く)、行政の取り組み履歴、属する広域ブロックで最有力であること。大阪市、苫小牧市、長崎県および佐世保市は、首長のIR誘致スタンスが明確であり、行政としてIR事業化の活動(IR導入にかかわる調査、構想策定、事業者からの提案募集など)を推進してきた。
横浜市は、市長が、現時点のところ取り組みスタンスを決定していないものの、過去にはIR誘致に前向きであった経緯がある。行政として調査活動を継続しており、地域事業者である京浜急行電鉄がIR参画検討を進めている。
とりわけ、大阪市は、本命とみられている。松井一郎・大阪府知事が日本維新の会、大阪維新の会の代表であり、それぞれIR実現、大阪市への誘致を選挙公約に掲げてきた。日本維新の会は、官邸と太いパイプを持つ。
松井氏、日本維新の会は、継続的に、官邸に対してIRを要望してきたうえ、大阪市では、行政、経済界が一丸となり、IRと万博(2025年国際博覧会)をセットで誘致しようとしている。また、大阪市は、日本を代表する大都市、世界最大級のIR権益であり、国内外の事業者が殺到する。大阪市のIR事業規模(年間)は、売上高3000億円、営業利益1000億円以上(シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ級)と予想される。
追走する3地域の課題とは?
一方、フロントランナーを追走する愛知県(常滑市)、和歌山県(和歌山市)、沖縄県(名護市などが候補)は、それぞれ10年以上に及ぶ長いIR活動履歴を持つ。常滑市では、経済界がIR活動をリードしてきた。2018年3月には愛知県が設置した有識者研究会が、常滑市の中部国際空港島におけるIR活用を検討すべきとの提言をまとめた。今後、愛知県知事が、正式にIR誘致に動く可能性が高まった。
和歌山県は、仁坂吉伸・知事のIR誘致の方針が明確である。ただし、同じ関西の大阪市との共存ストーリー構築が課題。沖縄県は、かつては、IR誘致の最右翼とみられてきたが、2014年12月に翁長雄志・知事の県政となって以来、IR誘致を中止した経緯がある。沖縄県では、2018年11月に知事選が予定されている。
仮に、知事選の結果、新県政がIR誘致スタンスとなるならば、沖縄県は一気に有力候補に再浮上するだろう。
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