なぜ日本のカジノは莫大な利益を生むのか

関東、関西2施設計の年間営業利益は3000億円

前回記したように、IRの重要な任務は日本の文化、サービス、技術、産業、観光資源の魅力を世界に発信すること、すなわちクールジャパン、ビジットジャパンの推進です。また、IRはこれまで禁じられてきた手段(カジノ)の許認可を受け、日本経済最大の資源である国民金融資産の一部を吸い上げ(移転を受け)、それを再投資する事業ともいえます。

大きな責任を担う、巨大なキャッシュフロー運用事業です。十分に日本の成長戦略に再投資し、社会の課題解決に役立てるためにも、日本社会にコミットする日本産業界が責任を持って主導すべきです。

一方、政府の成長戦略には、外資誘致(投資、企業)の推進が掲げられています。確かに、経済全体の視点では、外資誘致は重要な政策です。しかし、個別の産業では、外資依存が望ましくない分野があります。

経済全体から見た外資誘致のメリットは、①外国資本投下により新規の需要や雇用が創出される、②外国の優れた人材、情報、技術、経営ノウハウが導入され、産業競争力が向上し、一人当たりの生産性が高まる、などです。つまり、メリットは、外資が新規の需要を創出し、日本の産業の競争力を向上させることです。

カジノは外資導入がリスクになる分野

ところが、個別の産業においては外資導入がリスクとなる場合があります。そうした産業とは、①公共性、周辺産業への波及効果が大きい、②政府の許認可により高い収益性が見通される、などです。外資事業者は短期的な利益を追求する傾向があり、その結果、公共性、周辺産業への波及効果が抑制され、超過利益の海外流出(日本国内に再投資されない)が懸念されるわけです。

IR、カジノは公共性、周辺産業への波及効果が大きく、政府の許認可が大きな利益の源泉となる事業です。外資誘致のメリットが少なく、リスクが大きい分野です。世界の先進国では、自国企業がIR、カジノの所有(資本)、運営を担うのが基本です。シンガポールはIRの所有、運営を外資カジノ事業者に依存した先進国ではほぼ唯一の国です。シンガポールは都市国家(人口540万人。日本の5%以下)であり、極めて特殊な例外と言えるでしょう。

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