個人株主が投げかけた経営陣への問題提起は、あっさりと否決された――。
6月27日に東京・台場で開かれたフジ・メディア・ホールディングス(HD)の定時株主総会。2人の個人株主が共同で提出した10項目の提案に大きな注目が集まった。
その中でもポイントとなったのが、取締役と監査役の「75歳定年制」だ。フジ・メディアHDの取締役16人のうち、75歳を超えているのは日枝久会長(76)のほか、産経新聞の清原武彦会長(76)など5人。監査役も5人のうち、4人が75歳を超えている。こうした経営陣の高齢化が昨今の業績低迷につながっているのではないか、というのが個人株主側の理屈だ。
「一人負け」の構造的問題
2013年度のフジ・メディアHDの業績は、売上高こそ前期比1.6%増の6421億円だったものの、本業の儲けを示す営業利益は同16.2%減の315億円、最終利益に至っては同44.8%減の172億円と、大幅な減益となった。ほかの在京キー4局が増収増益となる中、「一人負け」を喫した格好だ。
苦戦の要因は、フジテレビジョンやニッポン放送などが手掛ける放送事業が同28.3%の減益となったこと。「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」や「ソチオリンピック2014」といった単発の大型スポーツ番組が健闘したが、レギュラー番組の落ち込みをカバーすることはできなかった。
昨年はフジ・メディアHDとフジテレビの経営分離を行い、プロデューサーとしてフジの黄金時代を築いた亀山千広氏がフジテレビの社長に就任した。が、日枝氏は今も両社で会長職にとどまり続けている。1988年にフジテレビ社長に就任して以来、26年間にわたって経営トップに君臨しているのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら