(第27回)事業戦略の枠組みを人生に生かす

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(第27回)事業戦略の枠組みを人生に生かす

福井信英

 入学や進学、入社、職場の異動など、4月を期に周囲の環境が変化する人は多い。今回は、新しい環境をどのようにとらえ、自分の人生に生かすべきか、考えてみたい。

●環境が持つ強み・弱み

 新しい環境に飛び込んでしばらくたつと、環境の強みに目がいく人と、弱みに目がいく人、どちらかに分かれる傾向があるようだ。

 先日、ネット上である議論が持ち上がった。ある大学で、教授陣がコントロールしやすい教え子を教授に引っ張る傾向があるため、年々教授の質が下がっている、というのだ。その大学に属する学生の一部は、教授陣の履歴を見て確かにそのとおりと賛同したが、別の学生は、ほかにないユニークな研究を数多く発表しているという事実を示し、教授陣は変わらず魅力的だ、と反対意見を述べた。

 また、地方の活性化に関してある商工会議所で議論になったときのことだが、地方は人口の流出が止まらず、人材も産業も少ないから過疎化はますます進む、という意見を述べた参加者がいた。その一方で、別の参加者は、地方は行政など自分たちでコントロールできる範囲が大きく、家賃・人件費などのコストも東京に比べて安い、ネット環境が充実すれば東京とは異なる形で成長できる、と述べた。

 同じ環境にいる人たちが、異なる視点から意見を述べている。どのような環境にも固有の強み・弱みがあるが、強みに目を向け人生に役立てるのが賢い生き方だ。

●外部環境分析と内部環境分析

 経営戦略を立案するときには、外部環境の分析によって導き出される一般解に、自社独自の強み・弱み(内部環境)を勘案し、固有解を導き出すのがセオリーとされている。外部環境の強みを機会、弱みを脅威と言い換え、4つの英単語の頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれることもある。
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