もしも徳川家康が甦って日本の首相になったら 教養エンタメ小説が描く英雄たちのコロナ対応

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時代を超えたオールスターがコロナ禍に立ち向かったとしたら?(画:安倍吉俊、『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』サンマーク出版)
2020年、東京でオリンピックが行われるはずだったこの年。新型コロナ大流行により、多くの国が国民の外出に制限をかけた。
これはグローバル経済において“成長を止める”ことを意味する。世界中が同時にこのように成長を止めた事例は世界史上初めてのことである。
一方、日本において420年前に一度だけ、国の成長を意図的に止めた人物がいた。それは江戸幕府の創始者、徳川家康である。
“戦(いくさ)をし、領土を広げてなんぼ”の戦国時代を駆け抜けた家康は、江戸幕府を開き、藩同士の争いや、国外との貿易を制限した。その結果、江戸時代は265年続く世界でも類を見ない太平の時代となった。現在、世界文化遺産に登録されている歌舞伎や能の他、落語や浮世絵など、日本の文化の多くはこの時代に生まれた。今では江戸時代は「パックストクガワーナ(太平の徳川)」と海外からも称賛されるほどであり、江戸幕府は日本でも最も優れた組織だったと言える。
その江戸時代の礎を築いた徳川家康が現代にもし蘇って、織田信長や坂本龍馬、豊臣秀吉など日本の歴史に名を刻むメンバーとともにコロナ禍に立ち向かったとしたら?
そんな物語を脚本家、演出家の眞邊明人氏がフィクションで描いた教養エンターテインメント小説『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』の試し読み版として本書から「プロローグ」をお届けします。

最強内閣、最初の閣議

2020年4月1日。

家康が日米首脳会談でアメリカ大統領と共同会見する10カ月前。

世界初のAIと最新ホログラム技術で復活した歴史上の偉人たちで構成された最強内閣。その最初の閣議が行われることになった。

桔梗(ききょう)の紋が入ったよれよれの羽織に汚れた袴(はかま)。その足元は革靴である。蓬髪(ほうはつ)、長身に真っ黒に日に焼けた肌。面長の顔に切れ長の目。黒い肌と対照的な真っ白い歯。薄汚いといえば薄汚いのだが、なんともいえない人を惹き付ける魅力がこの大男にはあった。

「困ったのぅ」

落ち着きなく身体を小刻みに揺らし、所在なげにうろうろと歩き回るその男は、この最強内閣の官房長官をつとめることになっていた。名を坂本龍馬という。

幕末の動乱期、土佐に生まれた風雲児は、33年という短い生涯のうちに薩長同盟、大政奉還という大仕事を、一介の脱藩浪士の身でありながら成し遂げた。他の幕末の志士たちが〝藩〞という自分たちの限界の中で生きたのに対し、坂本龍馬は常に〝国〞という視点で駆け抜けた。その生き様はまさに近代日本の夜明けのようであった。

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